“アラスカ鉄道 2004年 夏”


米国の鉄道は全て私鉄といわれますが、ここアラスカの地には連邦政府の運営するアメリカ国鉄がありました。1985年にアラスカ州政府に移管され、公営企業になっています。

路線は、アラスカ湾に面した南のスワードから北上し、アラスカの中心都市アンカレッジや北米大陸最高峰マッキンリーのあるデナリ国立公園を経て、オーロラで有名なフェアバンクスまで470マイル(756km)を結んでいます。途中からスワードとならぶもう一つの港湾であるウィッティアに至る支線などがあり、側線や操車場までを含めた路線の総延長は611マイル(983km)だそうです。

▲ 朝のアンカレッジ駅で発車を待つフェアバンクス行きの列車  2004/9/1

貨物輸送が主体ですが、5月中旬から9月中旬までの4ヶ月余り、短い夏の観光シーズンには、アンカレッジを起点としてそれぞれ、フェアバンクスまで、氷河クルーズの船の時間にあわせてスワードまでとウィッティアまで、1日1本ずつの旅客列車が運転されます。

なかでも、デナリ国立公園を経てフェアバンクスを結ぶ列車は観光客に人気があり、4000馬力の電気式ディーゼル機関車が重連で長い編成の列車を牽引します。荷物車や食堂車、展望ドームカーを含む紺とダークイエローのアラスカ鉄道の客車の後ろに、ツアー会社が所有するダブルデッカーの客車を連結しています。アンカレッジからデナリまで376kmを7時間半、フェアバンクスまで573kmを12時間かけてゆっくり走ります。

▲ 編成の後半にはツアー会社が所有するダブルデッカーの展望車が付く

このダブルデッカーの客車は、各車とも2階が雄大な車窓を楽しむ展望席、1階が食堂と厨房になっていて、一部の車両には外気に直接ふれることのできるデッキが付いてます。 夏でも朝のデッキは寒いですが。

1日1本の列車ですから列車を区別する必要などなく、アラスカ鉄道に列車名はありません。でも、地元のツアー会社は“Midnight Sun Express”白夜急行などという名前で展望車を売っているようです。

▲ 8月下旬の沿線は北国の短い夏が終わりを告げ、すでに秋の色が濃い

観光列車のため、6月上旬から9月上旬までのピーク時の料金は、アンカレッジ−デナリ間が$125(ツアー会社の展望車は$160程度)と、日本の新幹線のグリーン車なみです。でも、食堂車のランチは$10ほどで、とてもリーズナブルな料金で食事ができます。

アラスカ鉄道が賑わう期間は短く、北の大地に雪の季節が近づく9月中旬からはツアー会社の展望車の連結はなくなり、フェアバンクス行きは土曜日、アンカレッジ行きは日曜日のみの週に1往復の運行に減便となります。

 

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