バスも所有しています。1952年製の2619号は、ロンドンのルートマスターのようなボンネットタイプの二階建て。出入口はロンドンのような後部ではなく側面に。動態保存で、イベントで運行することもあるそうです。
▲ ボンネットタイプの二階建てバス
19号は1937年製の二階建て、後輪が2軸のトロリーバス。
▲ 二階建てトロリーバス19号
オーストラリア以外のトラムも保存展示しています。この近代的な2軸車は、第二次大戦後に分割された東ドイツが大量に製造したゴータカー。旧共産圏各国がチェコスロバキア製のタトラカーに席巻されるまで、東ドイツ各都市の主力車でした。5133号は1969年製のベルリン市電で、壁崩壊後の1996年まで稼働。ドイツからトラム博物館に寄贈され、動態保存車です。
▲ 東ドイツ製ベルリンのゴータカー5133号
ゴータカーの運転台。左手の制御器のハンドルで加速と電気ブレーキを操作。停車直前まで電気ブレーキが作動し、最後は右手でハンドブレーキのレバーを手前に倒して止める。
▲ ゴータカーの運転席
ゴータカーの車内は、通路を挟んで4人と2人のボックスシート。
▲ ボックスシートが並ぶゴータカーの車内
バスの奥に、西ドイツ当時のミュンヘンの3軸車らしき車両が押し込められています。同時代の東ドイツ製に比べると、随分スマート。
▲ ミュンヘンの3軸車
その隣には、イタリアはミラノの旧型車の姿も。
▲ ミラノの旧型車
展示館の壁面には、写真とともにシドニーの路面電車の歴史を語るパネルが。
▲ シドニーのトラムの歴史を紹介するパネル
各種プレート類も展示。
▲ 各種プレート類
歴代の切符もあります。
▲ 当時の切符も展示
市内バスの歴史も。
▲ 市内バスの歴史もパネルで紹介
展示を見終わって外に出たところに、台車を外したR型の達磨さんが鎮座。中は売店になっているので覗いてみることに。カレンダーを買って、会計時にレジのところで見つけた日本の路面電車の写真。尋ねてみると、“ちょっと待って、案内してあげる”
▲ トラムの車体を流用した売店
スタッフの方が、博物館の展示館の奥にある通用口の扉を開けると、そこは稼働中の動態保存車の車庫。2系統“築町”行きの、長崎電気軌道1054号、もと仙台市電の121号がいます。集電装置をZパンタからトロリーポールに交換し、方向幕の上にポールを操作する紐の擦れどめのバーを追加した以外は、塗色も含め長崎当時のまま。今の長崎では2番の系統は路線図になく、築町の停留所名も変更されました。トロリーポール集電は仙台での新造時の姿に戻ったようですが、車体中央のZパンタの取り付け台を流用したためか1本ポールで、終点ではポール回しが必要に。
▲ 長崎の1054号がいた
反対側は浦上車庫行き。ここは今も健在ですね。
▲ 浦上車庫行きの1054号
車内は長崎当時のまま。運転席背面には、仙台市電(1054号)経歴紹介として、昭和27年7月新潟鉄工所製造、昭和44年にワンマン化改造、昭和51年の仙台市電廃止により車体のみ譲り受け、西鉄北九州線の台車と組み合わせ… の日本語の説明書きがあり、その一部を翻訳し1991年の廃車後1992年に博物館に寄贈されたと追記の英文が挟み込まれています。
▲ 運転席の背後に1054号の紹介
ハウステンボスなどの車内広告は、30年近く前の長崎での現役当時のままでしょう。他の車両とともに交代で運用についているそうで、長崎で1050型が全廃された今では、世界で唯一の稼働する仙台市電の生き残りです。
▲ 吊り広告は長崎当時のまま
せっかくに機会なので、車庫の中にいる動態保存車を見せてもらいます。249号は1924年製のメルボルンのW2型。
▲ メルボルンのW2型249号
295号は1935年製のブリスベンのトラム。中央部が開放室になっていて、ここから乗り降りするためか、ドロップセンター型というそうです。枕バネがないのか、鋼板の簡易なマキシマム台車が珍しい。
▲ ブリスベンの295号
1740号は1933年製、シドニーのR型。車体中央の出入り口がR1型の1ヶ所に対してR型は2ヶ所あります。
▲ シドニーのR型1740号
ここから先は、車両が狭いところに押し込まれているので、1両全体が1枚の写真に納まりません。
コンパートメントがずらりと並ぶ1497号は1922年製、シドニーのP型。
▲ シドニーの1497号
開放室とコンパートメントが併用の1111号は1912年製、シドニーのO型。
▲ シドニーのO型1111号
近代的なスタイルの111号は1979年製、メルボルンのZ2型。同僚はトロリーポールをシングルアームのパンタグラフに換装して、まだまだメルボルンで現役です。
▲ メルボルンのZ2型111号
バララットのボギー車37号は1916年製。中央に出入り口があるドロップセンター型。
▲ バララットのトラム37号
ブリスベンの180号は1924年製、オープンデッキのドレッドノート型。
▲ ブリスベンの180号
アデレードの358号は1929年製のH型。密着連結器を備えており、総括制御に対応していると思われます。
▲ アデレードの358号
この他にもトラムウエー博物館では、サンフランシスコのPCCカーや1997年にLRTとしてシドニーにトラムが復活したときの低床車、何両かのR型、R1型や各種作業車など、ここで紹介できなかった車両を保有しているようです。それらの多くは動態保存で、内部が確認できなかったもう1棟の車庫の中にいるものと思われます。
シドニートラム博物館の公式ホームページは、こちら。