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デンマーク王室の客車
続いて客車をご覧いただきます。まずは、デンマーク国王が使用した王室のサロンカーから。
木造車体だけで、足回りが失われているものの大きな窓が印象的なロイヤルコーチS2。1854年製の王室専用車で、後に業務用の検査車に改造され1934年に廃車。売却された車体は夏の別荘として使われた後、1983年にデンマーク鉄道倶楽部に寄贈、2011年に鉄道博物館へ。復元される前の姿のままで展示 。
▲ デンマーク王室ロイヤルコーチS2の車体
デンマーク王のサロンカー、3軸客車S1号の外観の写真を撮り忘れました。フレデリック7世の1854年製の馬車の向こうに写っている客車がS1号。ドイツのハンブルグで1871年に製造され、1934年まで稼働。
▲ 馬車の向こうに3軸のサロンカーS1号
両端がオープンデッキで、車内は大きく2室に分かれ、片方の車端部にはトイレを設置。
▲ サロンカーS1号の車内
デンマーク王のサロンカー、S8号はクリスチャン9世の御料車として1900年に就役したダブルルーフのボギー車。フレデリック8世やクリスチャン10世もこの車両に乗ってヨーロッパ各国を訪問したのだとか。1939年まで稼働。
▲ サロンカーS8号
車内には2個所のサロンがあり、1等のコンパートメントとしても使用できる構造。
▲ S8号のサロン
プライベートスペースとして2個所の寝室があり、それぞれにトイレが付属。
▲ S8号の寝室
デンマーク王のサロンカー、2代目のS1号はクリスチャン10世の御料車として1937年に就役。フレデリック9世や、女王マルグレーテ2世も使用。ボギー台車が戦後に西ドイツで開発されたミンデンドイツ式に見えるので、履き替えているのでしょう。
▲ 2代目のS1号
車体に取り付けているのはデンマーク国王の紋章でしょうか。
▲ S1号の車体の紋章
続いて、一般人も乗ることができる客車です。
2軸の客車C2号は1862年製で、上のS2号を除けばデンマークに現存する最古の客車。3等車として製造され、当初は全体が広い客室であったものを、座席毎に分ける隔壁を設けてコンパートメント化。窓は片側5ヶ所の扉にあるのみ。
▲ 2軸の3等車C2号
5室のコンパートメント毎にドアがある、2等と3等の合造2軸客車BK714号。中央扉だけがU、その両側2個所ずつの扉にはVの表記。1868年製で、1930年まで稼働。車掌は車外から窓越しに検札をしたそうで、屋根に上っている鉄道員は室内灯(ランプ)の吊り下げ作業をしているでしょうか。
▲ 2軸の2等と3等の合造車BK714号
3等の客室は堅い木の椅子。少なくとも1室10名は乗車。
▲ 3等の車内
車体の中央に1室だけある2等の客室は、フカフカの座席。2等、3等ともにトイレは無し。
▲ 車体中央にある2等の車内
2軸客車GJ1号は、私鉄のGerdeser鉄道が1886年に製造したサロンカー。2室のラウンジと前室、トイレを装備。1893年にデンマーク国鉄に吸収され、S7号に改番。1930年代に廃車になり、夏の別荘として使用されていた車体を1993年に買い戻して復元。上のお召し列車なみの装備だが王室専用ではなく、1等の12倍の運賃を払えば一般庶民が使用することもできたのだとか。
▲ サロンカーGJ1号
車体の中央部は2段屋根になっていて、車内には赤い絨毯とソファー。
▲ サロンカーGJ1号の車内
▲ サロンカーGJ1号のトイレ
2軸の客車BJ665号は1888年製。コンパートメントごとにドアを有するタイプで、向かい合わせの板張り座席の狭い3等が2室と、ソファーが並ぶ広い2等が1室。2等室の背面にはトイレも設置。一番手前のドアは車掌室でしょうか。
▲ 2軸の2等と3等の合造車BJ665号
▲ BJ665号の3等客室
▲ BJ665号の2等客室
外観から貨車だと思ったけど、2軸車F2804号は乗客の手荷物を積載する荷物車。これ以前は、無蓋車にシートをかけて運んでいたが、1862年に英国から導入したこの荷物車は屋根があり、換気のために側面の上部が開閉できる構造。これから積み込もうとしている、樽の中身は何でしょうか?
▲ 2軸車の荷物車F2804号
2軸の二階建て客車CO型10498号は、19世紀後半からのコペンハーゲンの急拡大による近郊輸送の混雑に対応するため、60両導入。1階は各室に扉のあるコンパートメント、2階は通路の両側にボックス席が並ぶするオープンタイプの客室で、車端部の階段を上がって出入りする構造。天井が低く、内部は窮屈だったとか。コペンハーゲンの近郊輸送が電車化される1930年代の半ばまで大量輸送に従事。
▲ 2軸の二階建て3等車CO型10498号
短い車体で窓の少ないボギー客車は郵便車。車体側面には郵便物の投入口。デンマークの鉄道に、車内で郵便物の仕分けを行う郵便車が登場したのは1856年。この郵便車DA5005号は1937年製。
▲ 郵便車DA5005号
郵便局の職員が乗車し、走行中の揺れる車内で郵便物仕分け作業中。棚のある壁面には窓がないので、明かりとりの天窓を設置。
▲ 郵便車DA5005号の車内
駅に停車する長距離列車を再現したコーナー。
▲ ホームに停車する長距離列車
バックパッカーでにぎわう1970年代のコペンハーゲン中央駅でしょうか。国際列車ハンブルクエクスプレスの行先は、西ドイツのハンブルク・アルトナ。客車の所属はデンマーク国鉄。
▲ 国際列車ハンブルクエクスプレスを再現
乗客の持ち込んだバックパックも再現した2等のコンパートメント。
▲ ハンブルクエクスプレスのコンパートメント
ハンブルクエクスプレスのホームの向かいには、濃紺の客車が停車中。天井から吊り下がる駅名は、パリ北。正面奥にはエッフェル塔。
▲ パリ北駅のホームを再現
パリ北駅に停車する、オリエント急行も運行するワゴン・リ社の寝台客車のサボには、“北急行 ストックホルム−コペンハーゲン−パリ 経由地はマルメ、ハンブルク、オスナブリュック、ケルン、リエージュ”の文字。何度も連絡船で航送したのでしょう。
▲ ワゴン・リ社の北急行
車内は片廊下の個室寝台。
▲ 片廊下に面してコンパートメントが並ぶ
豪華列車ではなく、コンパートメントの中は普通の3段寝台。
▲ 3段寝台のコンパートメント
こちらのコンパートメントは2段寝台。
▲ 2段寝台のコンパートメント
寝台のベッドを折りたたんだ座席の状態。
▲ 寝台を折りたたんで座席に
客車の一端には配膳室。
▲ 寝台車の配膳室
車端部のトイレも公開中。
▲ 寝台車のトイレ
壁面には、各種客車の大型模型。車内の構成がよく見えるように、屋根がオープンになっているものも。
▲ 各種客車の大型模型
ディーゼル機関車の大型模型。
▲ 各種客車とディーゼル機関車の大型模型