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コペンハーゲン中央駅へ

散策を切り上げて、スロッツホルメン島からコペンハーゲン中央駅に向かいます。駅の近く、チボリに隣接するこの宮殿のような建物は、ニイ・カールスベルグ・グリプトテク美術館。

▲ ニイ・カールスベルグ・グリプトテク美術館

チボリにも前回入場しているので、今回はパスしてコペンハーゲン中央駅へ。

▲ チボリ公園


コペンハーゲン中央駅の列車

デンマーク最大の鉄道駅、コペンハーゲン中央駅は18世紀半ばの私鉄時代に木造の小さな駅として開業し、1867年の鉄道国有化後の1911年にレンガ造りの今の駅舎が完成。その後も改修を重ねて現在の姿に。

▲ コペンハーゲン中央駅

内部の壁はレンガ、床はタイルで、最近のJRほどではないものの、レストラン、ファーストフードやカフェ、ドラッグストアなどの店舗がそろっています。

▲ 駅中の店舗

市庁舎前広場にもあった、日本でおなじみのコンビニも駅ナカに。品ぞろえは日本のコンビニには劣るかな。

▲ 日本でおなじみのコンビニ

列車の時刻と発着番線の案内。11時前からの1時間の列車を数えてみると27本。その右下に設置されているのは、ハートのマークでAEDだと思うけど、日本とはちょっと表示が違ってる。

▲ 発車時刻表

多くの列車の中で、頻発しているのがコペンハーゲンの国電エストー(S-Tog、ドイツ語のSバーンと同じ)。路線図を見ると、A、B(Bの区間運転Bx)、C、E、F、Hの6系統があり、Fを除く5系統が中央駅を通っている。

前回の訪問時に乗ったのは、吊りかけモーター音が印象的な普通のボギー車だったけど、今では下膨れで短い車体のSA型連節車に交代済み。DC1500Vで、駅構内は剛体架線が使われています。

▲ コペンハーゲンのSA型国電エストー

車体の裾のグレーの部分に小さく書かれた型式と車番を見ると、SA-SB-SC-SD+SD-SC-SB-SAの8両編成で、両端の運転席があるのがSA。各車両とも短い車体の中央にプラグ式のドアが1個所。SA、SB、SCは車体の先頭側だけに1軸台車があり、SDだけは前後の2個所に1軸台車を設けた、4車体で5軸の構成。フランスのアルストーム製らしいが、コペンハーゲン以外でこんな変わった構造の電車を見かけた記憶はありません。

▲ 下膨れで短い車体の短い連接車

コペンハーゲン中央駅は、1番線から13番線。通過式のホームに停車しているのはME型ディーゼル機関車の牽く客車列車。 こちらはAC15kV、50Hzで電化されています。

▲ ME型ディーゼル機関車牽引の列車

赤い車体は、EA型電気機関車。

▲ EA型電気機関車牽引の列車

二階建て客車は、一端に運転室付きの制御客車を連結したプッシュプルタイプ。

▲ プッシュプルの二階建て客車

 

インターシティーでオーデンセへ

コペンハーゲンから西へ140kmのオーデンセまで乗車するのは、電化路線のインターシティーの主力、ER型電車IR4。黒いゴムタイヤのデンマーク顔は、スウェーデンのASEAとスイスのブラウンボベリが合併したABB社(その後、鉄道車両部門はアドトランツからボンバルディアを経て今はアルストーム)の製品。今朝空港から乗ったET型電車は通常のボギー車だったけど、ER型は4車体連接車。

チケットは事前にネットで買った早割で、メール添付で送られてきたPDFファイルを自宅でプリントしてきたもの。デンマーク語だけなので、念のためにネット翻訳で、号車番号と座席番号を確認しておきます。

▲ ER型電車IR4のインターシティー

乗車した号車のスタンダード(2等)の座席は、シンプルだけど掛け心地の良い集団見合い型の固定式クロスシートで、中央の左右1個所ずつだけが4人のボックス席。ヨーロッパの列車あるあるで、窓とシートピッチがずれて壁側席もあるけど、幸い前向きで窓との位置関係も良い席に。

▲ インターシティーのスタンダード(2等車)

検札の車掌さんは、端末でチケットのQRコードを読み取り。

▲ 車掌さんの検札

車内にあったデンマーク国鉄DSBの路線図。かつては連絡船で接続していた、ユトランド半島やスカンジナビア半島と、いくつもの島々の間は橋や海底トンネルで結ばれて直通運転に。

4両編成のER型IR4の設備や座席配置の見取り図も。

▲ 路線図とIR4の車内の配置

このインターシティーは、ER型電車IR4を2本併結。その連結面は、車両正面周囲の黒いゴムタイヤをぴったりと押し付けただけで、床面に渡り板もなくゴムを踏んで通ります。

▲ ゴムタイヤを突き合せた編成間の連結面

ゴムタイヤに囲まれて真ん中にあった運転席は、横に折りたたまれて通路に。連絡船で車両を航送していた時には、船内の有効長の関係で編成の分割併合の回数が多く、そのたびに貫通幌を操作する必要のないゴムタイヤ方式が考案されたと推測。

車両航送には、船内も自走できるMF型IC3ディーゼルカーが使われたが、海底トンネルや橋が開通し、電化の進行により置き換えられた電車にも、ゴムタイヤ方式が継承されたのでしょう。

▲ 運転席を折りたたむ

コペンハーゲンのあるシェラン島からオーデンセのあるフュン島へ、幅16km余りの大ベルト海峡を渡ります。

▲ 大ベルト海峡を渡る

前半は航路を妨げないように海底トンネルで。海峡の中間にある島(人工島?)で地上に出ると、道路と並行する橋を渡ります。道路橋は鉄道より後からできたのか、海峡の全区間に架けられ、鉄道が海底トンネルになる部分では、大型船を通すために橋脚を伸ばして高い位置に。

▲ 鉄道橋に平行して架けられた道路橋

 

オーデンセ駅の列車

コペンハーゲンから1時間40分で、インターシティーはオーデンセに到着。運転室の直後、黄色い線が引かれた窓2つ分の客室はファーストクラス。

▲ オーデンセに到着

ER型IR4の連接台車部分。連接面にはゴム製の幌が1枚。低いホームに対応するよう、乗客用のドアの下には可動式のステップを装備。

▲ IR4の連接面

編成間の運転室側の連結面、ゴムタイヤを突き合せた部分。

▲ 運転台側の連結面

オーデンセ駅で見かけた4車体連節のディーゼルカー、MG型IC4。メーカーはイタリアのアンサルドブレダ(現在の日立レール)。訪問時点ではデンマーク国鉄の最新型で、衝突時の安全基準を満たすようにクラッシャブルゾーンを設けるためなのか、流線型を採用して貫通式のゴムタイヤ顔から決別。

▲ MG-IC4型ディーゼルカー

中間車のうち、エンジンのない1両にはバリアフリーのための低床構造も導入。次世代の主力車種のはずが、納入の遅れに始まり、ブレーキをはじめとする故障が相次ぎ運用を離脱して廃車が続出。4編成併結が可能な仕様だったはずが、併結運転ができない欠陥車のためインターシティーでは使えず。残存車はローカル輸送に限定で使用されているものの、代替え車の導入で数年内に全廃予定だとか。

ホームの上に立ち、青い光を放つのはICカード読み取り機。

▲ ホームにICカード読み取り機

本来の非電化区間のローカル輸送はこちらのMQ型。ヨーロッパ各国で見かける既製品、シーメンスの部分低床ディーゼルカーのデジロ。

▲ MQ型ディーゼルカー