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ドイツ2日目もバイエルン州内乗り放題のバイエルンチケットを購入。前夜のホテルで2人が合流し、4人になったので25€+6€×3=43€。1日乗っても1人11€に届かず、青春18切符の半額近いコスパ抜群のチケット。優等列車には乗れないけど、今日乗る予定のローカル線には、そんなものは走っていません。
ドイツ最南端に近いオーストリア国境にそびえる最高峰、標高3000mにわずかに足りないツークシュピツェを目指して、ミュンヘン中央駅の片隅から出発する、国境近くのミッテンヴァルト行きのローカル列車RBに乗車。
▲ ミッテンヴァルド行きRBはボンバルディアのタレント2
車体側面にREGIO(Regional 地域の略?)標記のあるボンバルディアの連接車、タレント2の4車体5台車バージョンを2本併結。両先頭車の中央扉から運転台側が高床で、連結面方向と中間車の2両は、スロープで越える連接台車部分を除いて低床。
▲ 運転室からドアの手前まで高床 静音区画に指定
片側の高床部分は、ガラスのパーティションで区切られた静音区画らしく、携帯電話禁止や会話自粛のマークが貼ってある。車内でおしゃべりが止まらない、携帯電話よりうるさいおばさんグループ対策に、日本でも取り入れて欲しい。
▲ 中間車は連接台車部分を除き低床
ミュンヘンから南南西へ、オーストリアのインスブルクに通じるローカル線だけど、EC等の高速列車は東に大きく迂回する幹線を通経由するので、このローカル線は各駅停車だけ。4月末、春の車窓には満開の白い花。遠くに雪山が見えてきた。
▲ 白い花が満開
▲ 車窓に雪山が見えてきた
鋭く切り立った岩山は、これから目指す標高2,962mのドイツ最高峰ツークシュピツェ。
▲ 車窓のツークシュピツェ山
ミュンヘンから1時間20分ほどで、ガルミッシュ・パルテンキルヘンに到着。ここで隣接するメーターゲージの登山電車、バイエルン・ツークシュピツェ鉄道のガルミッシュ駅へ。この鉄道は、残念ながらバイエルンチケットは使えないけど、出札で提示すると運賃が2割引となり、往復で1人42€。4人ならこの差額だけでバイエルンチケットのもとがとれます。
▲ バイエルン・ツークシュピツェ鉄道のガルミッシュ駅
入線してきた電車は、シュタッドラー製の2車体連接車14号と15号の2本併結。車体の片方の側面の窓下に取り付けている板は、乗客のスキーを立てる金具。今の季節は誰も使っていません。
▲ 2車体連接車を2本併結
最近のヨーロッパでは、バリアフリーの観点から登山電車にも部分低床車があるけど、この鉄道ではまだ導入していないらしい。
▲ 車内はボックスシート
車内はボックスシート。急勾配に合わせ、座席の向きによって座面の傾斜角度を変えているのは、登山電車によくある仕様。
▲ 勾配に合わせて座面の傾斜角度を変えている
正面に貫通路を設け、なおかつ運転室を広くとるようにか、扉の位置を片方に寄せていて、運転席の位置がツークシュピツェ方面は右側、ガルミッシュ方面は左側に。
▲ 貫通扉を片側に寄せ広くとった運転席
駅のホームから、住宅地の向こうにそびえるツークシュピツェ。
▲ 駅のホームから望むツークシュピツェ山
19km先のツークシュピツェプラットを目指してガルミッシュを発車すると、南東に向かうドイツ鉄道DBのミッテンヴァルトからインスブルック方面の線路と分かれ南西方向へ。しばらく並走する左側の線路は、オーストリアのチロル地方を経てドイツのケンプテンにつながる、国境を2回またぐ標準軌のローカル線。貫通扉の窓にはツークシュピツェ。
▲ ガルミッシュ・パルテンキルヘンを発車
初めは、最急勾配でも35.1‰の平坦線を快調に走ります。周囲は長閑な牧草地。駅のある小さな集落には教会が。
▲ 牧草地の中を行く
▲ 集落には教会が
標高705mのガルミッシュ7.5kmを15分で、751mのグライナウまで登ってきました。ここで、山から下ってきたガルミッシュ行きと交換。
▲ ガルミッシュに下りる電車と交換
正面の扉は乗務員室への出入りに使うらしい。そういえば、電車の正面にステップと階段が設けられている。
▲ 正面の扉は乗務員の乗降に使っている
グライナウから先はラックレール区間に。駅から車庫への分岐線があり、車庫内に続く線路にラックレールありとなしが共存するのは、以前は平坦線とラックレール区間で客車を牽引する電気機関車が分けられ、グライナウで機関車を付け替えていた名残らしい。
▲ 車庫への分岐線
時速30km程度でゆっくりと、最急勾配150‰のシュトループ式ラックレール区間を登っていきます。
▲ ラックレール区間を上っていく
グライナウから5.2kmを10分程で標高差257m登り、10.7km地点、標高1008mのアイプゼー(アイプ湖)に到着。電車はしばらく停車するので一旦降りてみることに。
▲ アイプ湖駅に到着
駅の横にはアイプ湖。ここからツークシュピツェに直結するロープウエーが出ています。長期間運休してゴンドラを新しくする等、施設の改良工事が終わって運行を再開したばかり。
▲ 湖畔のロープウエーの駅
アイプ湖からツークシュピツェは、直行のロープウエーの他、鉄道で終点のツークシュピツェプラットまで登り、短いロープウエーに乗り継ぐコースもあり、どちらも同じチケットが使えます。往路はこのまま鉄道に乗り、復路にロープウエーで山頂から直接アイプ湖に降りることに。
▲ アイプ湖からツークシュピツェに向かうゴンドラ
▲ 電車の向こうにツークシュピツェ
電車はアイプ湖から終点まで、さらに1580m登るため、この先は最急勾配250‰のリンゲンバッハ式ラックレール区間。どんどん高度を上げていくと、車窓から眼下にアイプ湖が広がります。
▲ 車窓のアイプ湖
途中にある信号所の部分だけは勾配が緩くなっていて、下ってくる電車と交換。
▲ 信号所で列車交換
標高1640mの14.2km地点から始まるトンネルの入口にある駅は、停車せずにそのまま通過。
▲ ここから先がトンネル
残り5.8kmは、山中の暗闇の中をひたすら登ります。地図で見ると、ヘアピンカーブで2回、180度向きを変える等、大きく迂回して距離をかせいでいる。
▲ 標高1640mから先はトンネルの中
ガルミッシュから1時間と20分ほどで到着する、標高2,588mの終点ツークシュピツェプラット駅もトンネルの中。
▲ 終点ツークシュピツェプラットに到着
隣のホームには、箱形の電気機関車が貨車と客車を押し上げてきた列車が停車中。
▲ ツークシュピツェプラットで下車
▲ ツークシュピツェプラットに到着した列車
先頭の貨車には運転室があり、ここから後ろの機関車を制御できるらしい。中央のタンクは屋根をかけているので、積んできた荷物ではなく貨車の設備でしょう。山上でも水は雪 のある季節なら溶かせば確保できると思われるので、積み荷は燃料でしょうか。
▲ 運転室のあるタンクを装備した貨車
地上に出てロープウエーに乗り換え、残りの標高差374mを4分で山頂へ。
▲ 終着駅と山頂を結ぶロープウエー
▲ 山頂に到着するロープウエー
山頂から見たロープウエーのゴンドラと鉄道駅の周辺。一部に地肌が見える部分もあるけど、スキー場はまだ営業中らしく、リフトは稼働中。でも、4月末はシーズンの終わりか、スキーヤーをほとんど見かけない。
▲ 鉄道駅の周辺とロープウエーのゴンドラ