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イタリア3日目は、ボルツァーノから世界遺産、ドロミテ山塊の日帰りドライブ。イタリアの北東部に位置するドロミテ山塊(イタリア語でdolomite ドロミティー)は、アルプス山脈の南側の分嶺で、優美なスイスアルプスとは大きく異なり、荒々しい岩肌が剥き出しの山並みが続きます。山を構成する苦灰石(ドロマイト)は、日本語で白雲石という別名もある、石灰石(CaCO3)とマグネサイト(MgCO3)の中間の鉱石で、化学式はCa・Mg(CO3)2なのだとか。
ドロマイト(dolomite)は、18世紀末にこの鉱石を発見したフランスの地質学者ドロミウの名によるものだそうで、英語では、ドロミテ地方はドロマイツ(Dolomites)となるらしい。
夏期のドロミテ地方周遊には、日本の定期観光のような、1人から乗れる現地ツアーバスの運行があり、冬は世界各国からのスキー客で賑わいます。日本のゴールデンウイークはスキーシーズンが終わったばかりで、休業中のホテルや夏山に向けた整備で運休中のロープウエーやリフトが多く、バス路線も運休区間があってつながっておらず、まだ降雪の可能性もあるのでレンタカーは避けたい時期。
日本の旅行会社の北イタリア周遊で、ドロミテ山塊をコースに含むパックツアーの設定は、道路に雪がなくなるのを待つのか、早くても5月末以降。悪天候でドロミテ山塊が雲の中で、見えない日に当たったら何のためにここまで来たのやら。スケジュールがガチガチの、日本からのパックツアーはパンフレットだけはもらったものの検討対象外に。
▲ ドロミテ街道をいくクルマの前方に岩山が見えてきた
ボルツァーノの旅行会社にメールで問い合わせたところ、運転手付きでクルマによる周遊コースを組んでくれるとのこと。今回は4人なので、割り勘にすれば予算的にも無理はなく、運転手が英語を話すというので、費用の高い日本語ガイドは不要。ボルツァーノのホテルに3泊するスケジュールにして、とりあえずドロミテ周遊一日コースを3日間の真ん中の日で予約することに。
直前の天気予報で当日悪天候が予想される場合には、前後どちらかの日に変更したいという無理なお願いにも、オフシーズンで余裕があるので対応してもらえることに。
当初予定の日が一番天気が良さそうなので、予定通りの日程でとのメールを入れたら、前日に旅行会社から、予定していたコースの峠が雪崩の危険があるため通行止めになったので、一部コース変更をするとの返信。この時期、現地旅行会社に任せて正解です。
標高262mのボルツァーノから一路東へ。ドロミテ街道のエガ谷を進んでいくと、前方に見えてくる雪の残る荒々しい岩山はラテマール山群。
ボルツァーノから50分ほどでカレッツァ湖に到着。駐車場に建つ平屋の建物に入ると、
▲ この先に道路に下をくぐる歩行者トンネル
その先が道路の下をくぐる、歩行者専用トンネルにつながっていて、
▲ 道路の下の歩行者トンネルでカレッツァ湖に抜ける
抜けると、目の前に広がるカレッツァ湖。標高は1519m、木製の湖畔の展望台からの眺めは、逆光気味ながら秀逸。
▲ カレッツァ湖
針葉樹林に囲まれた、翡翠色の静かな湖面に姿を映すラテマール山群の最高峰は2846m。
▲ 岩山を映す翡翠色の湖
この季節なら、まだ山にも湖畔にも雪が残り、景色を一段と引き立てます。
▲ ラテマール山群
透き通った水から湖底が見え、水深は浅そう。
▲ 残雪が映える
湖を一周できる遊歩道があるので、時計回りに少し行ってみたけど、端の方に干上がっている部分があり、こんな景色になってしまったので、わずか8分の1周ぐらいで引き返します。雪解けの時期にこの水量では、夏は大丈夫でしょうか。
▲ 湖の横に回ってみると干上がっている
湖畔で見つけたフキノトウ。ドロミテの春です。
▲ 湖畔にフキノトウ
カレッツァ湖からクルマで10分で現れるカティナッチョ山塊。標高1745mのコスタルンガ峠で下車。
▲ カティナッチョ山塊
振り返ると、ラテマール山群。
▲ ラテマール山群
コスタルンガ峠から、カナツェイを目指してクルマを進めます。
▲ 小さな町を通過
▲ 町外れの高台に建つ教会
道路脇に、イタリアの他EUや周辺国の旗を立てた教会。看板に書かれた文字から、ここはマッツィーン村らしい。
▲ マッツイーンの村の教会
▲ 車窓に切り立った岩山
コスタルンガ峠から30分余りで、標高1460mのカナツェイの町に入ってきました。ここからは、標高3,342mの氷河をいただくドロミテ最高峰、マルモラーダが見えるベルベデーレに登るゴンドラが出ているのだとか。KAIZERKELLERの看板は、ホテルに併設のパブらしい。この辺りに1泊するスケジュールにすればよかったかも。
▲ カナツェイのホテル
雪崩の危険があるため通行止めになったガルディーナ峠を避けて、ボルドイ峠を越えるルートでコルヴァーラへ。カナツェイの町を通過してつづら折りの道を上り、山小屋とレストランのあるところで小休止。
▲ カナツェイ郊外で小休止
▲ 岩山が迫る
ボルドイ峠に向けてつづら折りの道をさらに上り、
▲ 車窓の岩山
▲ クネクネ道が続く
標高2239mの峠に近づくと、積雪が増えてきた。周辺には数多くのスキー場があるけど、リフトはもう止まっている。
▲ 雪が深くなってきた
峠を越えて下りにかかり、
▲ 遠方の雪山
コルヴァーラの町を見下ろすところで小休止。
▲ 眼下に見える町がコルヴァーラ
標高1568mまで下ってきてコルヴァーラの町に入り、ホテルのレストランで昼食。スキーシーズンが終わり、オフシーズンの間に設備の改修を行っているのか、レストランは観光客より作業服の工事関係者風の人の方が多い。
▲ コルヴァーラの街並み
▲ 昼食はホテルのレストランで
この日の最後の目的地、ドロミテの北東、オーストリア国境近くのサンタマッダレーナ村は遠く、コルヴァーラから1時間半以上かかります。
▲ コルヴァーラ郊外
▲ 緑の山村の向こうに岩山
途中のガソリンスタンドでトイレ休憩。売店もあって、ヨーロッパのコンビニ。表示されている値段を見ると、セルフで給油するガソリン(ヨーロッパにレギュラーはなくプレミアムのみ)が1.969€/L(当時のレート135円/€で換算して266円/L)、軽油が1.859€/L(251円/L)と日本に比べてずいぶん高く、どう使い分けているのかHiQ軽油2.109€/L(285円/L)もあります。向こう側には、スタンドの従業員が給油する場合の価格がそれぞれ1.987、1.900、2.150€/Lと表示されていて、人件費として1〜2%上乗せしているようです。
▲ ガソリンスタンドで休憩
標高1394mのサンタマッダレーナ村にやっと到着。分かれ道には小さな祠とキリスト像。狭い道をクルマで登ると開ける風景は、
▲ 小さな祠とキリスト像
長閑な緑の牧草地に建つ教会と、雪を抱くガイスラー山群の天を刺す鋭い岩肌。これぞ世界遺産ドロミテ。ちょっと曇ってきたのが残念だけれど、山はくっきり。
▲ ガイスラー山群を背にサンタ・マッダレーナ村の教会
丘に咲く満開の桜とタンポポ。サンタマッダレーナ村の春。
▲ 斜面のタンポポと桜
フネス谷の向こうに雪が残るのは、オーストリア国境の山でしょうか。
▲ 雪山を背に広がる牧草地
クルマで5分ほど移動すると、牧草地の中にたたずむ葱坊主を乗せた小さな教会。
▲ 村の小さな教会
教会の後ろにはガイスラー山群。
▲ 教会の背にガイスラー山群
近くの農家の庭先にこんなものが。
▲ 農家の庭先に置かれていた
雪解け水が流れる小川。
▲ 村の小川
村の小さな公園で子供を遊ばせているのは、孫を連れた若いおばあちゃんかな。
▲ 小川沿いの小さな公園
▲ 公園にあった彫像
公園から見上げるガイスラー山群。
▲ ガイスラー山群にズームイン
これでドロミテ周遊一日コースは終わり。雪が残り公共交通機関の使えないこの時期に、西ドロミテにサンタマッダレーナ村を加えて、チャーター車で効率よくまわれたけれど、またの機会があれば今度は夏に、東ドロミテを中心にロープウエーで山に登ってハイキングもいいですね。
あとは一気にボルツァーノまで帰るだけ。でも遠い。ブレッサノーネの手前で、インスブルックからブレンネロ峠を越えてくる高速道路に合流したあとは、列車と並走する一昨日と同じ車窓風景。山の中腹に建つ城も見たような。
▲ 山の中腹に城砦が
サンタマッダレーナ村から、1時間40分ほどでボルツアーノに帰着。ガイド兼運転手にチップを渡して、ヴァルター広場で降ろしてもらい、一旦ホテルに戻った後、夕刻の街を散歩です。
▲ ヴァルター広場の真ん中に立つ像は中世ドイツの詩人ヴァルター
▲ ドゥオモ
▲ 旧市街を行くバス
▲ ボルツァーノ自由大学
▲ タールファー川