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旅の車窓から

イタリア ボルツァーノ・ベローナ・ピサ

イタリア鉄道の旅 北イタリアボルツァーノからドロミテを巡り、ベローナ、ボローニャ、フィレンツェからピサとリオマッジョーレに立ち寄ってローマまで、イタリア縦断の旅にご案内します。


ミュンヘンから列車を乗り継ぎローマまで

2018年のゴールデンウイークは、羽田からドイツのミュンヘンに入りイタリアのローマから帰る航空券を確保。帰国日はゴールデンウイーク最終日の5月6日にして、乗り継ぎ便を通常料金で入手できる4月25日に出発を前倒しした、11泊12日のスケジュール。

ミュンヘン周辺で過ごした後、4日目の午後の国際列車でボルツァーノに到着。北イタリアを巡ってから一路南へ。ベローナからボローニャ、フィレンツェ。横道にそれてピサを経由してリオマッジーレに立ち寄りローマまで、8日間のイタリアです。

※ 11ページの末尾にそれぞれリンク先を設けました。詳しく知りたい方はご利用ください。


国境のブレンネロ駅

ミラノ中央駅から乗ったベローナ行きの国際列車ユーロシティー、EC83はオーストリアとイタリアとの国境駅のブレンネロに停車。イタリア北部に位置する南チロル地方は、第一次世界大戦でのオーストリア・ハンガリー帝国の敗戦により割譲されてイタリア領となったため、今でもイタリア語とドイツ語の両方が公用語となっていて、駅名もドイツ語のブレンネルが併記されています。

ホームには、この駅が始発のイタリアのローカル列車。側線には、ドイツからイタリアへクルマを運んできた、オーストリア連邦鉄道の電気機関車が牽引する貨物列車が停車中。

▲ オーストリアとイタリア国境のブレンネロ駅を発車

定刻より30分近く遅れてブレンネロに到着したEC83は、14分とられている停車時間を縮めて20分遅れで出発。電気機関車は3電源対応のユーロスプリンターなので、付け替えは行わなかったのでしょう。この先は、右側通行のオーストリアから左側通行のイタリアへ。発車するとすぐに、イタリア鉄道の車掌が検札に回ってきます。

▲ イタリア鉄道の車掌が検札

谷あいを走る列車の車窓には、小さな集落に赤い尖塔の教会。手前には満開の桜の木が1本。

▲ 満開の桜と教会の尖塔

丘の上には城塞のような建物も。

▲ 高台に城塞?

列車はブレッサノーネに停車。途中下車して散策してみたい街だけど、今回は通過だけ。駅舎にバールがあり、ホームに並べたテーブルとイスに腰掛け、飲み物を手にローカル列車を待つ乗客。イタリアです。

▲ ホームにバールのテーブルが並ぶブレッサノーネ駅

雪の残る山。谷底と段丘の上に集落があり、それぞれに赤い尖塔を持つ教会。アルプスの南側では、オーストリアのようなネギ坊主は乗っていません。

▲ 上の街としたの街 それぞれに教会の尖塔


ボルツァーノに到着

EC83は20分遅れのままボルツァーノに到着。4月末はサマータイムで、まだまだ明るい8時前。

▲ ボルツァーノに到着

先頭の機関車まで写真を撮りに行こうと思ったのに、乗客が降りると列車はすぐに発車していってしまいます。

▲ ボルツァーノを発車して行くEC83列車の後ろ姿

駅名のボルツァーノはイタリア語。ドイツ語ではボーツェン。夕食はEC83の食堂車で済ませるつもりだったのに、何故かこの日は連結していません。ちょっと疲れたのでホテルにチェックイン後に出かけるのも億劫になり、駅構内にレストランも見つからないので、駅の売店でパニーノ(イタリア版サンドイッチ)とビールを買い込んで、旧市街の中心の広場に面したホテルへ。

▲ ボルツァーノ駅舎

こんな時のために、日本から持ってきた非常食のカップラーメン。ボルツァーノ駅の作り置きのパニーノはハズレでおいしくなかった。

▲ ホテルで寂しい夕食 このパニーノは×


ボルツァーノからメラーノへ

ボルツァーノには3泊して、ドロミテ山塊や南チロルを巡る計画。イタリア2日目は、ボルツァーノでオーストリアと結ぶ幹線から分岐して、北西に向かうローカル線に乗ってメラーノへ。さらに、西に向かう盲腸線の行き止まりマッレス・ヴェノスタを目指すことに。

旧市街の中心、14世紀の大聖堂が建つヴァルター広場では、朝から花市がオープン。

▲ ボルツァーノの中心ヴァルター広場

広場から緑の公園を抜け、5分ほどでボルツァーノ駅。どっしりとした石造りの駅舎です。

▲ 石造りのボルツァーノ駅

駅にやってくる路線バスの行き先も、イタリア語とドイツ語で表記。

▲ バスの行き先もイタリア語とドイツ語を併記

駅の窓口で、南チロル地方のイタリア鉄道や私鉄、一部のバスやロープウェー等が乗り放題になるお得な切符、“モビルカード”を購入。翌日は使わないけど、通用1日が15€、3日が23€なので、3日用を購入。切符はこんなカードになっていて、乗車前に青い専用の改札機を通します。

▲ モビルカード専用の改札機

ホームに出ると、向こうの留置線に車運車を連ねた貨物列車が停車中。日本ではなくなったようだけど、ヨーロッパではまだまだ鉄道によるクルマの輸送が健在です。

 

▲ 留置線にクルマを積んだ貨物列車

入線してきたのは、オーストリアとの国境駅ブレンネロ行きのローカル列車。黄色のラインは、この地域の鉄道会社Societá Automobilistica Dolomiti(SAD)がイタリア鉄道の線路上を運行する列車らしい。

車両はスイス製の部分低床連接車、シュタッドラーのFLIRT。ヨーロッパ各国で見かける既製品の電車で、挿入する中間車の両数により2〜6連まで対応できるのだとか。

▲ 国境駅のブレンネロ行きローカル列車

乗車するメラーノ行きは、フランス製の部分低床連接車、アルストームのミヌエット。イタリアのローカル列車や近郊列車、空港連絡列車等で一番よく出会う車両でしょう。同じような車体で電車とディーゼルカーがあるけど、これは電車バージョン。ピンクの塗色は、この地域の鉄道会社Trentino Trasporti Spa(TT)がイタリア鉄道の線路上を運行する列車らしい。

▲ メラーノ行きローカル列車

ボルツアーノからローカル列車で40分余り、前方に山が立ちはだかるメラーノに到着。向こうのホームには、ピンクのTTのFRITが停車中。

▲ メラーノ駅

ここから先、マッレス・ヴェノスタに向かう非電化のローカル線は景勝路線という情報を見つけ、終点までモビルカードの有効区間に含まれているという理由だけで乗りに来ました。メラーノでSADが運行するディーゼルカーに乗り換えます。

▲ ディーゼルカーに乗り換え

駅舎側のホームで乗り換え客を待っていたのは、中間に短い車体の動力ユニット、その前後の車両は運転室側にのみボギー台車を有し、連接面は動力ユニットに寄りかかる構造の、3車体で6軸の連接車、シュタッドラーのGTWを2編成併結。この車両は動力ユニットにエンジンを搭載しているけれど、中間車にパンタグラフを乗せた電車タイプもあります。

 

▲ 中間に短い動力車を挟む

最短は3両編成だけれど、中間車や中間の動力車を増やした長い編成にも対応できる構造。客室は中間のドアから連接面までが低床で、運転室側の台車のある部分が高床。

▲ 低床部分の客室

中間の動力車は、真ん中に高床の通路があるだけで、その両側は機器室。その中にはエンジンと発電機、補機類が納められていて、電車タイプと部品の共用化も可能な、電気式のディーゼルカーかなと推測します。

▲ 中間の動力車は通路だけ

動力ユニットの通路を抜けた先のもう一両は、低床部分には広いトイレを備え、自転車等の搭載が可能なように跳ね上げ式のロングシートに。

▲ もう1両の低床部分は自転車が積める構造

メラーノを発車した車窓に、機器類の撤去された動力ユニットと片側の客室が切り離されて留置された車体。ネットで調べてみると、2010年に列車が土砂崩れに乗り上げて脱線転覆していて、この時の事故に遭遇した車両らしい。

▲ 事故車両が留置

ディーゼルカーとはいえ、客室のある車両には動力源を持たないので、走行中は静かで良好な乗り心地。川沿いに谷を遡っていく沿線は、景勝路線というだけあって、大きな窓から景色が楽しめます。

▲ 川沿いに谷を遡っていく

メラーノは日本語のガイドブックにも掲載されているけれど、その先の乗車中の路線や終点のマッレス・ヴェノスタまでの情報が載っているガイドブックは見つからず、ネットに掲載された情報も日本語はほとんどありません。車窓にロープウエーを見つけたけど、果たして何処に登るのやら。

▲ 車窓のロープウェー

小さな集落に教会。ワインになるのかブドウ畑や、白い花の咲くリンゴ畑が続きます。

▲ 残雪の山と教会の尖塔

停車駅のホームの向こうに見上げるのは古城?

▲ 古城のようなものがある

単線のため、途中駅で列車交換。どうやらこのローカル線で運行している車両は、シュタッドラーのGTWに統一しているらしい。

▲ 途中駅で列車交換

日曜日ということもあってか、地元客に行楽客を加えて途中駅での一定の乗降もあり、2本のユニットを併結した列車でも一部の区間では立ち客の出る混雑も。列車の運行は概ね1時間間隔だけど、その間に一部通過駅のある増発列車が入って30分間隔になる時間もあり、日本のローカル線に比べると活気を感じます。

▲ 途中駅もそこそこの乗客数

車窓に現れたケーブルカーの路線。スキー場にも見えないし、上まで登って何があるのでしょうか。

▲ ケーブルカーの線路が見えた

頂上付近に雪が残る山が近づいてくると、もうすぐ終点。

▲ 山頂に雪が残る

メラーノから1時間と20分ほどで、終点のマッレス駅に到着。街の名前はマッレス・ヴェノスタ。山の向こう側は、オーストリアとスイス。

▲ 終点のマッレスに到着


マッレス・ヴェノスタのレストラン

この日は日曜日だったので、田舎町で昼食ができるか心配したけど、あらかじめ車内でネットのトリップアドバイザーで見たところ、駅から歩ける距離にオープンしているレストランを発見。

▲ 昼食に立ち寄ったレストラン

ちょうどお昼時。車が何台も止まり、レストランは賑わっています。メニューはこの土地らしく、イタリア料理に加えてオーストリアとドイツ料理も。お店の人は、イタリア語、ドイツ語に加えて英語も使って客に対応。

▲ ワインとビールで乾杯

サラダ、パスタ、リゾットに加えて、ミュンヘンで食べそこなったヴァイスヴルスト(白ソーセージ)も注文。ドイツバイエルン地方の白ソーセージは、鮮度の関係で朝つくったものを午前中までに食べるとされているけど、ここイタリアでは正午を過ぎてもオーダー可能。ドイツパンのプレッツェルと一緒に出てきた。

▲ メニューはイタリア、オーストリア、ドイツ料理

 


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