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ビラノバのカタルーニャ鉄道博物館

シッチェス駅に戻ってきました。再びロダリエスに乗って、1駅先のビラノバ・イ・ラ・ヘルトルに向かいます。

▲ シッチェス駅

バルセロナ方面から465型が入線。あれ、連結器カバーがなくなってる。

▲ ロダリエスが入線

ヒラノバは鉄道の要所だったところらしく、塀の向こうに並ぶ建物は鉄道工場でしょうか。古い客車の廃車体のようなものも見えます。

▲ 古い客車の廃車らしき姿

バルセロナから1時間に4本運行しているロダリエスのうち、半数はビラノバ・イ・ラ・ヘルトル止まり。折り返し列車は頭端式のホームに入線。

▲ ビラノバ・イ・ラ・ヘルトル駅のロダリエスのホーム

歴史があるのでしょうね、駅舎もなかなか立派。

▲ ビラノバ・イ・ラ・ヘルトル駅

駅前広場の横にあるのが、カタルーニャ鉄道博物館。建物から機関車が顔を出し、横には移設したのだろうけど給水塔も。もと機関区の扇形庫を、展示館に利用しているようです。残念ながら門扉は閉じられ、改装工事で休館中なのは、事前に確認済。

▲ カタルーニャ鉄道博物館

裏に回って、歩道から塀の上にカメラを突きだして撮れたのが蒸機機関車のお尻。

▲ 蒸気機関車のお尻

電気機関車や腕木式信号機も見えるけど、これが限界。

▲ 電気機関車の姿も

 


ビラノバ・イ・ラ・ヘルトル港

次はタラゴナに向かう予定だけど、ビラノバから先の運行間隔が30分に開くロダリエスは、途中駅のサン・ビセンス・ダ・カルデルス止まり。バルセロナからタラゴナを経てレウスやレリダ、遠くはバレンシア方面に向かう 快速列車は30分〜1時間毎にあるけど、ロダリエス区間のバルセロナ・サンツからサン・ビセンス・ダ・カルデルス間は快速運転で、ビラノバ停車するのは半分程度の1〜2時間に1本だけ。

▲ 木造船が岸壁に上がっていた

次の列車まで時間があるので、港に行ってみることに。駅のすぐ裏側なのに海側には出口がなく、線路の下をくぐる地下道まで大回り。ビラノバは、バルセロナ、タラゴナに次ぐカタルーニャ州第3位の水揚げを誇る漁港。住宅地のすぐ前の港の岸壁には、古い木造船が上がっています。

▲ クレーンを装備した漁船

港には大小各種の漁船が停泊。オレンジの船は救助船らしい。

▲ 救助船らしい

多数のクルーザーやヨットも並び、その向こうの大きな3階建ては観光船でしょうか。

▲ クルーザーの向こうは観光船?

漁網やロープをはじめとする漁具が置かれた岸壁には、多数の小型の漁船が係留中。

▲ 多数の小型漁船が係留

その中の1隻では、甲板のふたを開けてエンジンの点検作業中らしい。岸壁から覗き込んでいたら、乗っていいよという合図。船の上でいろいろ説明してくれたけど、聞き取れた唯一の単語が“バルセロナ”。緑のエンジンには、スウェーデンのボルボの文字が浮き出ていました。

▲ エンジンの点検中

中に入れてもらったらブリッジには、古野電気の航海計器や魚群探知機。

▲ ブリッジの機器類

 


普通列車でタラゴナへ

駅に戻り、タラゴナまでの切符を買ってカーブしたホームで待っていたら、252型電気機関車がタルゴを牽いて高速で通過。

▲ 252型電気機関車の牽く列車が通過

客車は車高の低い低重心で、車軸のない左右独立車輪を装備する振り子式。機関車と客車を比べると、振り子式の客車の方が、カーブでの傾斜角はやや大きいような。

▲ タルゴ型客車

続いて448型電車の快速が3両の短い編成で到着。

▲ 448型電車の普通列車

車内は、ヨーロッパでは少数派だけどスペインではよく見かける転換式のクロスシート。デッキ付きで、JR東の185系のイメージだけど、運賃だけで乗れます。天井が間接照明で、窓の上部にも照明を組み込む内装だけど、FRPの窓枠を固定するビスの頭がよく目立つのが惜しい。

▲ 車内は転換式クロスシート

窓割りと座席間隔が一致しておらず、ほどよく混んでいると、空席があるのはこんな窓側ならぬ壁側席だけ。

▲ 窓側ならぬ壁側席 窓枠をとめるビスの頭が目立つ

この先タラゴナまで、コスタ・ドラーダに沿った景勝区間を走るのに、汚れた窓越しの車窓はこの有様。

▲ 窓ガラスが汚ない

ビラノバから30分でタラゴナに到着。タラゴナは紀元前2世紀の古代ローマ帝国からの歴史があり、2000年前からの遺跡と共存する街。

▲ タラゴナに到着

 


タラゴナ駅から地中海のバルコニーへ

タラゴナ駅は、ホームの向こうに地中海が広がり、沖合には大型船舶の姿も。留置線で休む軸配置BBの電気式ディーゼル機関車の車体には、何故かスペイン国鉄 renfe ではなく、バルセロナメトロの一部路線を運行するカタルーニャ公営鉄道 FGC のマーク。EU域内では、鉄道改革で上下分離とオープンアクセスが実現し、鉄道事業への参入が自由化されているので、同じ路線を複数の鉄道会社の車両が走行するのは一般的。

調べてみるとこの機関車は、バルセロナとその北西40kmにあるマントレルの間で自動車部品の貨物輸送を行うため、FGC が renfe の310型を2両譲受して353型として、貨車の編成の両端に連結して運行しているものだとか。でも、それが何故タラゴナにいるのかは疑問。

▲ FGCの353型電気式ディーゼル機関車

駅前には路線バスが発着しているものの、郊外にある古代ローマ時代の水道橋に向かうバスが出るのは中心市街地から。まずは、線路脇にある古代ローマの円形劇場を目指します。

▲ タラゴナ駅

駅から坂道を登っていくと、円形劇場の見える場所に着く前に、タラゴナ駅を発車したバルセロナ行きの高速列車、ユーロメッドが来てしまった。

▲ タラゴナ駅を発車したユーロメッド

地中海を背に、円形劇場の横を行く姿を撮りたかったけど、間に合いません。

▲ 地中海を背にユーロメッド

このユーロメッド、2019年末のダイヤ改正でバレンシア方面からタラゴナの手前まで広軌の在来線を走った後、マドリードから来る標準軌の高速新線に乗り入れてスピードアップ。バルセロナから先、フランス国境方面まで運行区間を延長したようで、可変軌間の130型が本領を発揮することに。でも、停車駅は街から遠い郊外の高速新線カンプ・デ・タラゴナ駅になり、今では在来線のタラゴナ駅を通らなくなったようです。

▲ バルセロナに向かうユーロメッド

イベリア半島最大の都市としてローマ帝国が支配していたタラゴナに、紀元1世紀の後半から2世紀初めにかけて建設された、幅87m、奥行き110mの円形劇場。面積はローマのコロッセオの3分の1程度だけど、1,4000人が収容できる大規模な施設。コロッセオと同様に、剣闘士や猛獣との戦いが繰り広げられ、処刑所として使われたこともあるのだとか。

▲ ローマ時代の円形劇場

道路をさらに一段上がれば、遠くまでよく見渡せる地中海のバルコニーと呼ばれる高台。中央に残る建物の廃墟は、円形劇場が使命を終えた後、12世紀ごろその中に建てられた教会の跡らしい。

▲ 地中海のバルコニーから見た円形劇場

円形劇場と海との間を線路が通り抜けていて、振り返れば駅の向こうにはタラゴナ港。

▲ タラゴナ駅の向こうは港 崖っぷちにはサボテン

近くのトーレ・デ・ラスモンジャスは、旧市街の壁と塔。黒いクルマの後ろの植え込みには、世界遺産のマーク。

▲ トーレ・デ・ラスモンジャス 手前に世界遺産のマーク

 

タラゴナのランブラ・ノヴァ通り

地中海のバルコニーから街の中心に向かうランブラ・ノヴァ通りは、バルセルナのランブラス通りと同様に真ん中が歩道で両側に車道。

▲ ランブラ・ノヴァ通り

歩道の真ん中に立つ彫像。台座には、タラゴナ・アルス・エロイス・デ・1811の文字。1811年にあったナポレオンが率いるフランス帝国軍と、スペイン・イギリス・ポルトガル連合軍との間で戦ったスペイン独立戦争において、フランス軍による包囲に対して都市を擁護した人々の、英雄の記念碑だとか。

▲ 1811年の英雄の記念碑

歩道には、骨とう品を並べる露店も。

▲ 露店の骨とう品屋

Fira de Nadal の文字。年が明けても、クリスマスフェアは続いているようで。

Fira de Nadal はクリスマスフェア

歩道の真ん中で組体操。数えてみると、日本の運動会を上回る7段のピラミッド。カタルーニャ地方の祭りや催しの際に行われる、伝統行事のカステイ(人間の塔)。タラゴナ以外にバルセロナなどでも行われているらしい。

▲ 伝統行事の人間の塔

 


ラス・ファレラス水道橋

円形劇場とならぶタラゴナの古代ローマ時代の遺跡は、タラゴナまで水を引いていた水道橋。郊外にあるので、路線バスで行くことに。バス乗り場は、ランブラ・ノヴァ通りの先にある、大きなロータリーの中。

▲ インペリアル・タラコ広場のバス停

新市街の中心部にあるインペリアル・タラコ広場は、丸くなったロータリーから放射状に何本もの道が延びる交通の要所。そのロータリーの中の行先別に分かれたバス停に、次々とバスがやってきます。

▲ タラゴナの市内バス

水道橋に行く5番と85番のバスは、それぞれ40分間隔の運行。両方合わせると20分毎に来るので、まずまず便利。車内に観光客らしき姿はなく、地元の客ばかり。5分も走ればもう郊外。タブレットのGoogleMapを見ていると、後ろの席のおばちゃんが次だと言ってくれているようなので、早めに真ん中の出口へ。

▲ 水道橋方面に行くバス

バス停に停まったら、運転士がこっちに来いという仕草で呼びます。運賃は乗るときに払ったよと思いながら前まで行くと、帰りもこのバス停から同じ方向に行くバスに乗るようにと英語で教えてくれます。皆さん不慣れな旅行者に親切です。

▲ 帰りも降りたときと同じバス停から

2世紀頃にタラゴナの街に水を供給するため、全長35kmの水路がつくられ、ラ・ファレラス水道橋は谷を渡る部分に架けられたけど、今は役目を終えています。案内にある建設中の絵によると、2000年前に人力クレーンで石を吊り上げて建設したらしい。

▲ 水道橋の工事

セゴビアの街中を貫く水道橋や、南フランスのニームの近くにあるポン・デュ・ガールも見てきたけど、それらより規模はやや小さく、長さが217m、2層になった一番高いところが26m。それにしても、観光客をほとんど見かけない。

▲ ラ・ファレラス水道橋

水道橋は、上部の水路の部分を歩いて渡ることができます。

▲ もとの水路の部分を通って水道橋を渡れるようになっている

向こう側からも全体を眺めてみたけど、その先には道はないようで、また水道橋を渡って戻ります。

▲ 向こう側に渡ってみた

▲ 水道橋の上に人影が

▲ 水道橋からの眺め

運転士から聞いたとおり、もとのバス停まで戻ってタラゴナ市街地から来るバスに乗車。バスはどんどん先に進み、住宅地の中に分け入って循環してからもとの幹線道路に戻り、タラゴナに向かいます。帰り道で、往路に水道橋で下車した場所も通ったけど、停留所が設置されていないので、ここからタラゴナ方面には乗車できないよう。往路は10分もかからなかったのに、復路は住宅地の中まで遠回りして30分近くを要します。