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スペイン2日目。朝食のあとバルセロナの街中へ。夜明け前のランブラス通りは閑散としていて、歩道のミロのモザイクの上もに誰もいません。早朝の雰囲気だけど、これで朝の8時過ぎ。といっても、イギリスより西に位置するのに、グリニッジ標準時より1時間早い中央ヨーロッパ時間を採用するスペイン。国内では最も東に位置するバルセロナでさえ、正月は日の出を迎えるのが8時半近くになってから。
▲ 8時過ぎとはいえ夜明け前のランブラス通り ミロのモザイク
ミロのモザイクからランブラス通りを港方向へ。通りから1本ゴシック地区に入ったレイアール広場では、ガウディーがデザインした街灯がまだ点灯中。当時はガス灯、今は中身が電球になったけど。
▲ レイアール広場のガウディーの街灯
通り沿いの劇場広場で、高いところに座っているのは、台座に刻まれた名前から、詩人で劇作家のフレデリック・ソレル。
▲ フレデリック ソレル記念碑
ランブラス通りが海に出会うところまで来ると、茜色の空を背景に立つコロンブスの記念碑。もう日の出間近です。
▲ コロンブスの記念塔とロープウエーの中間駅
帆船が停泊するバルセロナ港から、地中海のバレアス諸島に向け船が就航していて、200km先のマヨルカ島までは深夜発のフェリーに乗れば翌朝着。高速船なら4時間かからないけど、運賃や頻度を考慮して飛行機で行くことに。
▲ 帆船が停泊中
曲線を描く海上遊歩道のポートベルを向こう側に渡ると、
▲ 海上遊歩道ポートベル
クリスマスの飾りが残るショッピングモールのマレマグナムがあるけど、まだ開店前で誰もいません。
▲ ショッピングモール マレ・マグナム
港と奥に見える小高いモンジュイックの丘を結ぶロープウエー。フェリーの着く埠頭にケーブルを支える塔が立っていて、中間駅を兼ねているけど、こんなところで乗り降りする人がいるのかな。
▲ 赤い作業船のむこうは港とモンジュイックの丘をつなぐロープウエーの中間駅
時刻は8時半。やっと、海岸に建つ海洋博物館が朝日に染まり始めます。
▲ 朝日に染まる海洋博物館
コロンブスにも陽が当たり始めます。塔の上にある展望台がオープンする時刻だけど、果たして入り口はどこに。
▲ コロンブスの記念塔
ランブラス通りを戻ります。オペラ座のリセウ大劇場より1本手前の路地をラバル地区に入ったところにある、屋上に奇妙なキノコが並ぶ建物は、ガウディーが手掛けたグエル邸。
▲ ガウディーのグエル邸
まだオープン時間には早いけど、その前には団体客なのか大勢の人が。
▲ グエル邸の前に人が集まり始めている
メトロとロダリエスで空港へ
また明後日に戻ってくるからねとフロントに言って、空港行ロダリエスの時刻に合わせてホテルをチェックアウト。電車は時間が読めるので、また1€と少々で空港まで行けるコースで。
▲ リセウ駅のメトロ3号線
1月2日は、スペインでは普通の平日だけど、メトロ3号線は空いています。
▲ 1月2日は平日だけど空いている
パセジ・ダ・グラシアで国鉄 renfe に乗り換え。最初に来たのは、地中海沿いの在来線経由バレンシア北行きの長距離快速。切妻蒲鉾車体の470型電車。車内はJR東海やJR西の新快速にそっくりの、ヨーロッパでは珍しい転換式クロスシート。
▲ バレンシア行きの快速列車
向かいのホームに、オール2階建て3連の451型ロダリエス。ドア付近には落書きが。
▲ 451型ロダリエス
空港行ロダリエスが定刻に入線。パセジ・ダ・グラシア発は毎時02分と32分。
▲ 空港行のロダリエスが入線
バルセロナの西の郊外、空港線に入ればこんな長閑な車窓。
▲ 空港線の車窓
エア・ヨーロッパでマヨルカ島へ
駅から長い陸橋を渡って空港ターミナル2へ。ここはライアンエアやイージージェット等のLCCが中心のターミナルで、マヨルカ島にも就航しているけど、時間帯と運賃を比較して選んだスペインのLCCエアーヨーロッパは、多くのレガシーキャリアと同じターミナル1を使用。空港内循環無料バスに乗り換えです。
▲ ターミナル間無料循環バスでターミナル2からターミナル1へ
ヨーロッパのLCCに乗るのは、これが2度目。前回のLCC世界最王手ライアンエアーの場合は、事前のウエブチェックインとプリントした搭乗券の持参が必須で、ターミナルビルから徒歩で搭乗、自由席の座席にはシートポケットがなくリクライニングもしない等、究極のコスト削減だったけど、エアーヨーロッパの場合はレガシーキャリアと特に変わる点は無し。
▲ LCCだけど普通にカウンターでチェックインして発券
チェックインカウンターで荷物を預けて搭乗券を発券。キャンセル不可で荷物が有料だけど、ヨーロッパ内ではレガシーキャリアでも安い料金の場合はこれが一般的。ボーディングブリッジを使って機内へ。
▲ LCCだけどボーディングブリッジから搭乗
B737の座席は、とくに間隔が狭いわけでもなくごく普通。
▲ LCCだけどシートもレガシーキャリアと変わらず
バルセロナを離陸して、地中海を一路南へ。30分もすればもう島が見てきます。
▲ 30分ほどでマヨルカ島の上空へ
バレアレス諸島州の州都パルマ・デ・マヨルカ
地中海西部のバレアレス海に浮かぶマヨルカ島の面積3460平方キロは、沖縄本島の約3倍。人口は約87万人で、沖縄本島の約2/3。温暖な気候で年間の晴天が300日、ヨーロッパ各国からの観光客でにぎわうリゾートの島。島の南西部パルマ湾の奥に位置し、本土と結ぶ港や空港のある人口41万人のパルマ・デ・マヨルカは、バレアレス諸島州の州都。
▲ パルマ・デ・マヨルカ空港
パルマ・デ・マヨルカ空港は、国内のみならずヨーロッパ各国との間で直行便が就航して観光客を運んで来るので、乗客数は首都のマドリード、第2の都市バルセロナに次ぐスペイン第3位の規模なのだとか。
その空港から街への交通機関は、LRT路線を新設する計画はあるそうだけど、今はまだバスとタクシーだけ。1番の路線バスで向かおうとしたら、1台積み残されて次の便も満員。しかも市内均一運賃1.5€のところ、地元住民以外の空港発着のみは5€という差別運賃。
▲ 1番の路線バスで空港からパルマ・デ・マヨルカのスペイン広場へ
街の中心、スペイン広場で下車。マヨルカ鉄道の駅に隣接するホテルにチェックイン。ここで2泊することに。これでも星4つ。正月はオフシーズンだけど、夏の宿泊料金は高いでしょうね。
▲ スペイン広場とパルマ駅隣接のホテル
バレアス諸島には他にLRTが走る島はあるものの、マヨルカ島は一般の鉄道がある唯一の島。スペイン広場を起点にマヨルカ鉄道、パルマ・メトロ、ソーイェル鉄道の路線が島の北や北東方向に伸びています。1911年の開業で、3フィート914mm狭軌の木造電車が木造客車を牽引するソーイェル鉄道は、残念ながら施設の改修工事で運休中。代わりに、一般の観光客はまず乗らないであろうマヨルカ鉄道で1時間かけ、島の東部の終点まで行ってみることに。
マヨルカ島の鉄道の歴史は、1875年にパルマと島の真ん中にあるインカの間が、軌間914mmの3フィートゲージの蒸気動力で開業し、すぐにインカから先へ、北部のサ・ポブラと東部のマナコルに路線を延ばしました。19世紀末から20世紀にかけて島の南東部への2路線やマナコルから先への延長線等が開業したものの、戦後は公営スペイン狭軌鉄道に移管した1965年前後からモータリゼーションで次々と廃線になり、1981年には残った路線が開業時のパルマ−インカ間のみに。どこかの段階で、線路幅1mのメーターゲージに改軌されています。
1994年にバレアス諸島鉄道サービスに移管されると、2000年にサ・ポブラ、2003年にマナコルまでの路線が復活。2007年にはメトロ1号線がパルマからバレアス諸島大学まで開通。このころパルマ駅を地下に移行し、その先2駅間の地下路線をメトロとマヨルカ鉄道の複線を並べた方向別の複々線としています。
2013年にはマヨルカ鉄道の途中駅、マラチまでをメトロ2号線と位置づけているので、その頃までにマヨルカ鉄道の一部区間を電化したようです。
▲ マヨルカ鉄道の旧駅舎らしい
マヨルカ鉄道の地上の駅舎は残されていて、カフェやスーパーマーケットなどに。かつてホームがあったと思われる跡には、レールのモニュメントが。その背後の広い構内だったところは公園になり、新しい駅とバスターミナルはその地下へ。
▲ 線路のモニュメント
エスカレーターで地下に下ります。看板の赤はバス、黄色はメトロ、そして青がマヨルカ鉄道を表しています。
▲ 新しい駅は地下
路線とゾーン制の運賃を示す図。表記はカタルーニャ語とスペイン語? どちらも読めないけど、黄色の線がメトロ1号線、破線がマヨルカ鉄道でAゾーン内のパルマとマラチ間がメトロ2号線と重複。パルマからの列車は、平日の昼間はメトロ2号線のマラチ行きが毎時2本。C3ゾーンのインカ行き、D3のサ・ポブラ行き、D6のマナコル行きがそれぞれ1時間に1本ずつの運行。サ・ポブラ行きとマナコル行きはメトロ2号線の区間は通過となるけど、インカまでの各駅は概ね20分間隔の乗車機会。また朝のラッシュ時に、パルマ−インカ間にマラチのみ停車の急行が3往復運行。土日祝日は、各駅に停車するサ・ポブラ行きとマナコル行きだけがそれぞれ1時間に1本の運行が、乗車した2018年段階の運行ダイヤ。
▲ 運賃はゾーン制
地下に下りると、出札窓口と券売機。まずは、インカまでの紙のチケットを購入。
▲ 出札窓口と券売機
同じ階に、頭端式のマヨルカ鉄道とメトロのホームがあり、入り口には自動改札機。写真にほとんど人が写っていないのは、翌朝早くに撮ったから。
▲ 自動改札機はICカードと紙の切符のQRコードを読み取る方式
メトロ1号線の車両は、2扉車の2両編成。車内は1人ずつの区分があるログシート。
▲ メトロの車両
マヨルカ鉄道の車両は、2扉車の4両編成。メーターゲージだけあって、国鉄 renfe の車両より一回り小さく幅も狭い。車体に落書きされたマナコル行きに乗車します。
▲ マナコル行きに乗車
窓口で買った紙のチケットは、スーパーのレシートのようなペラペラの感熱紙。飛行機の搭乗ゲートのようにQRコードを自動改札機にかざすと、扉が開きます。
▲ インカまでのチケット
車内はボックスシートで、幅広の連結部だけは同じシートを縦向きに配置したロングシート。
▲ 車内は幅広連結部を除いてボックスシート
自転車の持ち込みにも対応していて、ドアと乗務員室の間は自転車の固定場所と跳ね上げ式のベンチシート。
▲ ドアと乗務員室の間は自転車置き場
地下のパルマ駅を発車して2駅目を通過してメトロ1号線と別れると、列車は地上に顔を出します。マラチから先は各駅に停車。インカが近づいてくると、車窓に1000m級の山が連なる世界遺産、トラムンターナ山脈の険しい山並みが望めます。
▲ 世界遺産トラムンターナ山脈の山並み
この付近の沿線にはアーモンド畑。2月になると満開の桜のような花をつけるのだとか。