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バルセロナのブルートラム

カタルーニャ公営鉄道のメトロ7号線に乗り換え、5日ぶりにアベニーダ・ティビダボへ。バルセロナ初日にもここまで来たけど、土日祝日に運行するはずのクラシックな Tranvia Blau (ブルートラム)が、1月1日は運休だったので6日の祝日に出直しです。

▲ ブルートラム7号

きたきた。通りの向こうから、青い2軸車の7号がポールを上げて邸宅街の坂道を下ってきます。ブルートラムはメトロ7号線の終点があるケネディー広場と、ティビダボ山の遊園地に登るケーブルカーの駅があるアンドリュー広場を結ぶ全長わずか1.3km、標準軌の短い路線。

この間に93m高低差があり、最急勾配は1000分の80。途中6個所の停留所があることになっているけど安全地帯はなく、何処が停留所なのかよくわからず、迂回して遠回りするが並行するバス路線もあるため、乗客は観光客だけで途中ノンストップで運行。

▲ トラムの後ろにクルマが渋滞する

トラムの開業1901年で、マヨルカ島のソーイェルトラムより古く、1971年までにバルセロナ市内の他のトラム路線が廃止された後も、唯一残った路線。

▲ 車体や台車はアメリカンスタイル

ウイキペディアによると、車両は開業時の2号と1904年製の5〜8と10号、それに1906年製の9号を夏用の窓ガラス無しでスケスケの腰板に改造した赤い129号があり、前回2001年夏休みの訪問時には129号も稼働していて、5号に乗車しています。

当時の写真と見比べると、その後の更新により正面の2枚窓を1枚に、その両脇の折れ曲がった縦長の細い2枚窓を1枚の曲面ガラスに改造したようです。車内は木製のボックスシートのままで、天井の優雅な白熱灯も変化無し。

▲ 始発のケネディー広場の6号

日本の明治時代の路面電車とよく似た米国タイプの車体や台車。始発のケネディー広場と終点のアンドリュー広場では、線路を道路の端に寄せて歩道から乗り降りする構造。到着すると、車掌さんが1本ポールの紐を持ち、後ろへ回して付け替え。

▲ 終点のアンドリュー広場

▲ 終点のアンドリュー広場

運転席には大きな制御器。その隣は更新時に追加したのか、ふたが開いている部分には液晶モニターのようなものが埋め込まれ、向こうの黒い大きなホイールはハンドブレーキ。足元の出っ張りはフートゴング。

▲ 運転台の制御器

天井裏にはチンチンのベル。デッキにドアはなく、こんな簡易な仕切。

▲ デッキの仕切

常時2両が運行しているようで、路線の途中の坂道ですれ違い。

▲ 6号、7号と同じ区間を運行する196番のバス

ブルートラムの様子を動画でご覧ください。

▲ ケネディー広場とアンドリュー広場を発車するブルートラムを動画でご覧ください

なお、ブルートラムはこの訪問の数ヶ月後、2018年春から施設の改良工事で長期運休中とのこと。再開は、このページ末尾に示す公式サイトでご確認ください。


バルセロナのLRT

ブルートラムを除き、1971年までにトラムが廃止されたバルセロナに、2004年に30数年ぶりにLRTでトラムが復活。今では市の西部にT1〜T3の3系統、東部にT4〜T6の3系統が、メトロやロダリエスの駅と各所で接続してネットワークを構成しています。

▲ グロリアスで接続するT4とT5

メトロ1号線で、T5とT6の始発でT4と接続するグロリアスへ。地上に出ると、アルストーム製の5車体連節構造の全低床車、シタデスが乗客を待っています。とりあえず、東へ向かうT4が来たので終点まで乗ってみることに。

▲ シタデスの車内

広い通りにセンターリザベーションの芝生軌道で快適な乗り心。

センターリザベーションの芝生の軌道を行く

車両は、前後どちらにも走れ、終点のループ線が要らない両運転台で両側扉。停留所は、相対式ホームと道路の中央に島式ホームの両方があります。

▲ 幅広い島式ホームの停留所

別ルートで来るT6と再び合流して、ロダリエスと接続するサン・アドリア駅前へ。島式ホーム1面2線の終点です。そのまますぐに折り返してしまったけど、あとで Google Map を見たら海が近く砂浜まで歩ける距離でした。

▲ T4とT6の終点サン・アドリア駅前

帰りはT4から分かれ、北に迂回するコースをたどってT5と合流し、グロリアスまで戻るT6に乗車。無機質な郊外の高層アパートが建ち並び、アフリカや中東系の移民でしょうか、トラムの客層もがらりと変わり、この日に見てきたグエル公園やサグラダファミリアをバルセロナのイメージとすると、それとは余りにかけ離れた観光客の立ち入ることのない、ヨーロッパの大都市のもう一つの顔を見せつけられた感じがする地区を抜けていきます。

▲ 移民が多く住むアパート群が建ち並ぶ

その後は地下区間があったり、地上に出て一部単線区間になったり変化のある路線をT6の終点、メトロ1号線と接続するグロリアスまで戻って一旦下車。電車は渡り線を使って折り返します。

▲ グロリアスで折り返すT6

さらに先まで行くT4に乗り換え。

▲ T4が入線

T4の終点、シウタデア/オリンピック村は相対式ホーム2面2線のターミナル。

▲ T4の終点シウタデア/オリンピック村

周辺にはバルセロナ動物園やカタルーニャ議事堂のある広い公園をはじめ、いくつもの公園があってその向こうは海けど、同じ名前のメトロ4号線の駅やオリンピックボランティア公園もあり、この周辺が1992年のバルセロナオリンピックの選手村や海上で行われる競技の会場だったらしい。

▲ T4の終点シウタデア/オリンピック村

▲ 折り返してくT4 左の森はバルセロナ動物園

近くのカスカデス公園から遠くに、水道局の砲弾型の高層ビル、トーレ・アグバール。

▲ 砲弾型の高層ビル、トーレ・アグバール

カスカデス公園の下を国鉄 renfe の地下路線が通っていて、振り返ると地上に姿を現した448型が駆け抜けていきます。すぐ先が終着のフランサ駅。

▲ フランサ駅に向かう列車

メトロ4号線のシウタデア/オリンピック村駅から、旧市街のゴシック地区へ。

▲ メトロのシウタデア/オリンピック村駅

 


バルセロナ旧市街ゴシック地区

メトロ4号線をジャウマ・プリメで下車。地上に出たところにあるのが、13世紀末から150年かけて建てられたカテドラル、サンタ・エウラリア大聖堂。夕暮れが迫ってきました。

サンタ・エウラリア大聖堂

大聖堂前広場に面したビルの外壁に描かれているのはピカソの絵。ここから5分も歩けばピカソ美術館も。

▲ ピカソの壁画のあるビル

鐘楼のある大聖堂の後陣側から細い路地を横に回ると、

▲ 大聖堂の鐘楼

コロンブスがこの場でイザベル女王に謁見して新大陸発見を報告したといわれる王の広場。

▲ 王の広場

広場に隣接する中尉の宮殿に入ってみました。16世紀半ばの建築で、ライトアップされた吹き抜けの天井がユニーク。

▲ 中尉の宮殿の吹き抜けの天井

展示館として使われているようで、中央には噴水のある中庭。

▲ 噴水のある中庭

ここでも、アクリルケースに入った降誕場面がスポットライトを浴びています。クリスマスから今日の公現祭まででしょう。

▲ 噴水と並んだ降誕場面

 


バルセロナ最後の晩餐はバルで

ホテルに戻ってしばし休憩の後、ネットで見つけたバルで夕食に。歩いて行ける距離だけど、暗くなってからの旧市街のラバル地区横断は避けて、地下鉄で行くことに。

メトロ3号線リセウ駅で大きな布包みを持って電車を待つ黒人の集団。中身は主にニセブランド品のハンドバッグで、ランブラス通りの歩道などでこの布の上に商品を広げ、警官が来ると瞬時にくるんで蜘蛛の子を散らすように逃げながらの商売を終えて帰るところ。

▲ 大きな荷物を持って電車を待つ客

パラルレル駅で下車して、広い通りからちょっと奥に入ったクルマが通れない歩行者専用の道が、ピンチョスの店が並ぶ通り。その中で、一番人気のバルがNHKの番組で紹介されたとか。BSの世界ふれあい街歩きかあるいは二度目のバルセロナでしょうか?

▲ ピンチョスのバル

まだ、スペインの夕食には時間が早いので、何とか席を確保。カウンターにいろんなピンチョスが並んで、どれもおいしそう。

▲ バルの店内

回る寿司が皿の色で変えているように、ピンチョスに刺した爪楊枝の色で値段が違うらしい。

▲ ピンチョスに刺さる爪楊枝の色で値段を分けている

一つずつ、いろいろ試してみて大満足。

▲ これも追加

 


スペイン広場の噴水ショー

メトロ3号線で隣駅のスペイン広場へ。地上に出たところにある円形の建物は、闘牛場を改装したショッピングモール。

▲ スペイン広場

振り向けば、夜空にそびえる2本のベネチアの塔。

▲ ベネチアの塔

ベネチアの塔をくぐり、パルセロナオリンピックの会場だったモンジュイックの丘に向かう通りの車道と歩道の間に並ぶ、ライトアップされた噴水。

▲ スペイン広場からモンジュイックの丘への通り

その通りの突き当たりにあるのが、大きなマジカの噴水。カタルーニャ美術館を背に、1929年の万博時につくられたというこの噴水で、毎週木、金、土曜日(夏期は水、日曜日も)行われる光と音楽の噴水ショー。1月7日から2ヶ月ほどは冬休みに入るので、当日は今シーズン最後の機会です。

▲ マジカの噴水ショー

 

▲ カタルーニャ美術館と噴水ショーの見物客


さよならバルセロナ

スペイン7日目はもう帰国日。ホテルをチェックアウトして、今日も遅い夜明け前のランブラス通り。ミロのモザイクもこれで見納め。

▲ ランブラス通りのミロのモザイク

例によって、回数券でメトロとロダリエスを乗り継いで空港へ。乗り換えのパセジ・ダ・グラシア駅で、向かいの2番線には449型連接車。

▲ パセジ・ダ・グラシア駅の449型電車

空港行きのロダリエスが入線。今回もまた回数券を使い残してしまったけど、その後に運賃値上げが行われているので、次のバルセロナ訪問時に持っていっても、この回数券はもう無効。半分以上使って、元はとれているので、まっいいか。

▲ 空港行きのロダリエスが入線

 


旅のヒント

2018年の年始に、スペインのカタルーニャ州バルセロナとバレアレス諸島州のマヨルカ島に行きました。街中には新年を迎えてもまだクリスマスの飾り付けが残っていると思ったら、スペインやイタリアでは1月6日の公現祭までクリスマスの期間だそうで、この時期に訪問してちょっと得した気分です。

バルセロナのエルプラット空港から市内へ使った交通手段は本文に書いた通りですが、単純に往復するだけなら鉄道は使わずに、速くて本数の多いカタルーニャ広場行きのアエロバスをお勧めします。

グエル公園には前々回訪問時と今回の2回行きましたが、混まない、入場制限も受けない、しかも無料の営業開始前に入ることをお勧めします。最寄りの地下鉄駅から歩いた実感では、夜明けが遅い季節は116番のバスかタクシーで正門に乗りつけた方が安全かと思います。東門に着くバスでは中央広場まで遠く、人通りのない公園内を歩くことになると思われます。訪問から2年余りで、既に廃止や変更になったバス路線があります。下記の公式ホームページでご確認ください。

この旅で乗車や訪問を計画していたソーイェル鉄道やカタルーニャ鉄道博物館は、改修工事の期間に当たってしまいました。ブルートラムは、訪問後の春から工事で長期の運休期間に入っています。事前の情報収集は欠かせません。

バルセロナでは、訪問直前にカタルーニャの独立やゼネスト、テロなどの混乱が続いていました。下記のリンク集に記載のサイトが、現地最新情報の収集に役立ちました。

2018年1月旅
2020年9月記


お役に立つリンク集

これからお出かけになる方や鉄道ファンの方に役立ちそうなリンクをそろえました