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イタリア2日目は、トリエステとその背後にある丘の上の街オピチーナを結ぶ、トリエステ・オピチーナトラムに乗車です。メーターゲージの路面電車で、始発はトリエステ中央駅近くのオベルダン広場。かつてトリエステ市内を縦横に走っていたトラム路線は廃止されてバスになり、おでこに2番の系統番号を表示するこの路線だけが残りました。
乗車したのが2016年のゴールデンウイーク。その3ヶ月余り後に、単線で交換待ちをせずに発車したトラムが見通しの悪いカーブで正面衝突事故を起こし、それ以後運休によるバス代行中。車両は修理されたものの保安装置の設置なのか何度も再開が延期され、2019年の夏 には、2020年2月の運行再開を予定しているとの報道がなされていま したが、2021年春段階でもまだ運休中のようです。
▲ 始発のオベルダン広場
▲ 出入り口付近がロングシートで中央はボックスシート
トリエステ・オピチーナトラムの特徴は、路線の途中にある1000分の260に及ぶ急勾配区間。20世紀初め、オーストリア=ハンガリー帝国時代の開通時には、ラックレールの電気機関車が電車を後押しをしたそうだけど、イタリアになってからの1928年にケーブルカー方式に変更。
運行は20分間隔。オベルダン広場を発車した電車は、併用軌道で次のスコルコラ広場へ。ポイントを渡ってスイッチバックでケーブルカーに接触。電車は無動力で、ケーブルカーが3停留所先まで押し上げます。
▲ スコルコラ広場の電停でスイッチバック
▲ バッファをケーブルカーに押し当てる
▲ ケーブルカーに押されて急こう配を上る
▲ 急勾配ケーブルカーの終端部分
その先は専用軌道となって、登り勾配で吊りかけモータを唸らせながら終点のヴィラ・オピチーナに向かいます。車窓から望むのはアドリア海。
▲ 車窓から遠くトリエステの街とアドリア海を見下ろす
▲ 終点のヴィラ・オピチーナ
終点には車庫を兼ねた整備工場があります。事務所で保存車両を見たいと申し出たら、車庫に案内してもらえました。オープンデッキにダブルルーフの2軸車、6号は開業当時の姿に復元した動態保存車のようです。
▲ 隣接する車庫兼整備工場
▲ 保存車6号
▲ オープンデッキの2軸車
▲ 6号の車内
▲ 整備中の現役車
▲ 奥にもう1両2軸車がいた
電車に乗っていると、無線でやりとりしている声が運転席で聞こえるものの、交換停留所でのタブレットのやりとりはなかったように思います。正面衝突を防ぐ保安装置がどうなっていたのか疑問です。安全を確立した上で、一日も早い運行再開が望まれます。
トリエステ・オピチーナトラムの様子を動画でご覧ください。
▲ トリエステ・オピチーナトラム
トリエステ・オピチーナトラムの詳細は、こちらで詳しく紹介しています。
トリエステ・オピチーナトラムに乗ってスコルコラ広場まで戻り、ケーブルカーに連結するトラムを撮ってから、トラムの始発のオベルダン広場へ。前夜の散策コースを港に向かいます。途中、商工会議所のあるボルサ広場を抜け、海に向かって市庁舎が建つウタニ・ディタリア広場へ。
▲ ボルサ広場の商工会議所
▲ ウニタ・ディタリア広場の市庁舎
18世紀半ばの噴水の後ろには、18世紀末のピッテリ邸と19世紀末のロイド保険トリエステ館。その向かいには20世紀初頭に建設の県の政府庁舎。ここはトリエステの官庁街。
▲ 噴水の後ろはピッテリ邸とロイド保険トリエステ館
▲ 県の政府庁舎
ウタニ・ディタリア広場から海沿いの道を歩き、港の端のヨットハーバーの先にあるトリエステ・カンポマルツィオ鉄道博物館を目指します。ここは、既に廃止された旧カンポマルツィオ駅。港に面し背後には広いヤードが広がるので、貨物輸送はこの駅が中心だったのかもしれません。立派な駅舎の一部と頭端式のホームが、トリエステ・カンポマルツィオ鉄道博物館になっています。
▲ 灯台が建ちヨットが係留されたトリエステ港
▲ 旧カンポマルツィオ駅が鉄道博物館
ボランティアベースで運営されているようで、2016年の訪問時は水土日の週に3日の午前中、9時から13時まで開館していましたが、公式ホームページによると2017年7月から改修のために休館していて、2021年の 春段階では公式ホームページに接続できなくなっています。
▲ 出札窓口が残る展示室
▲ 右側の出口から車両が展示されているホームへ
この日は平日の水曜日。見学者は少ないものの、ホームに出ると蒸気機関車の前で、社会科見学らしき小学生が説明を聞いています。駅舎のベンチにたくさんのリュックが置いてあったのは、彼らの持ち物でしょう。入場料を取っているとはいえ、イタリアでこんなところに荷物を放置できるのは、トリエステが治安が良いからなのでしょう。
▲ 社会科見学の子供たち
▲ 整備された蒸気機関車もあるけど
博物館の実物展示は、蒸気機関車、電気機関車、電車、客車、貨車等、多岐にわたる貴重な車両があります。でも、赤さびた蒸気機関車をはじめ荒廃している車両も多く、予算がないのか整備が行き届かない様子がうかがえます。
▲ 多くは放置され赤さびた蒸気機関車
▲ 痛みが激しい蒸気機関車
▲ 連接車体の電気機関車
▲ 客車が並ぶ
▲ クラシックな3軸客車
▲ 流線型の電車
かつて、トリエステ市内を走っていたトラムも3両。メーターゲージなのでここだけ線路は標準軌との三線式に。朽ち果てる前に何とかしてほしいものです。黄色い傾斜した車両は、トリエステ・オピチーナトラムの先代のケーブルカー。
▲ かつて市内を走っていたトラム
▲ オピチーナトラムの先代のケーブルカー
トリエステ鉄道博物館の詳細は、こちらで詳しく紹介しています。 廃車置き場から脱して、整備の上で再開する日が来ることを期待します。
オベルダン広場から鉄道博物館まで徒歩で30分ほどかかったので、バス停を見つけ売店で切符を買ってバスでホテルまで戻ります。荷物をピックアップして、ヴェネツィアへ向かうためにトリエステ中央駅へ。
▲ 港のバス停
▲ 中央駅方面に行くバスが来た