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2019年の年末年始に真夏のオーストラリア、メルボルンとシドニーに行きました。メルボルンに入り、夜行列車で移動してシドニーから帰る7泊8日のスケジュール。航空券の高いこの時期でも、出発を12月31日まで遅らせば、通常料金に戻る航空会社があります。
LCCのジェットスターより安い、税やサーチャージもコミコミで往復運賃80,720円を提示してくれたのがエアチャイナ、中国国際航空。安さにつられて、今までも北京乗り継ぎのヨーロッパでは時々お世話になっていて、レガシーキャリアなので座席の広さ、機内の設備やサービスはごく普通。荷物預けや事前の座席指定も、追加料金なしで対応していて、周囲の乗客も常識の範囲内。
メルボルンとシドニーは、1993年以来の26年ぶり。今回は気楽な一人旅。2度目なので前回に見た、カンガルーもコアラもペンギンパレードも、羊の毛刈りもない、トラムと蒸機だけの現地滞在正味6日間。
※ 17ページの末尾にそれぞれリンク先を設けました。詳しく知りたい方はご利用ください。
2019年末年始時点でのエアチャイナのメルボルン便は、羽田から夜便で北京乗り継ぎ現地翌日午後着と、成田から朝便で上海乗り継ぎ現地翌朝着があり運賃は同じ。足の便の良いのは羽田で、北京の方が乗り継ぎ時間も短いけど、現地到着1日目もフルに使える上海経由を選択。早起きをして、東京駅から格安バスTHEアクセス成田で第一ターミナルへ。
エアチャイナの本拠地である北京首都空港の乗り継ぎなら、預け荷物は目的地までスルーで行き、上海浦東空港でも何年か前からヨーロッパ便の預け荷物はスルーになったのに、成田のチェックイン時にカウンターのお姉さんが言うには、オセアニア便の場合は一旦入国して荷物を受け取ったのちに預け直しとのこと。
乗り継ぎに7時間あるので中国に入国して、昼食を兼ねてリニアモーターカーと地下鉄で上海の街中まで出るつもりだったので、面倒だけどまあいいやと思っていたら、浦東空港で荷物を受け取りメルボルン便のチェックンカウンターに持って行ったところで、受け入れは出発の3時間前からと言われてしまった。後で調べれば、空港内に有料の荷物一時預かりがあったんだけど、そこまで頭が回らずリニアは幻に。10年前に乗っているからまあいっか。
▲ 磁浮(リニアモーターカー)の上海浦東空港駅
中国系の航空会社では、エコノミークラスで私のような特定の航空会社のステイタスを持っていなくても、乗り継ぎが4時間以上の場合は、ネットから手続きすれば無料でホテルやラウンジを用意してもらえます。北京首都空港での、エアチャイナの無料ラウンジはアルコールも有料で、ありがたいのは深夜便に乗り継ぐときのシャワーぐらいだけど、今回初めて使った上海浦東空港の無料ラウンジは頭等艙候機室。ファーストクラスラウンジを開放していて、北京とは雲泥の差。
▲ エアチャイナの頭等艙候機室
チェックインから出国審査を済ませてラウンジへ直行。搭乗時間までゆったりと過ごします。
▲ 遅い昼食にありついた
今回は時間をもてあましてしまったので、無料ラウンジはありがたい存在でした。エアチャイナでも、ヨーロッパ便なら荷物はスルーで行くはずなので、成田発になるものの上海乗り継ぎも候補に検討の余地があるかも。
▲ デザートまでフルコースで
オーストラリア東海岸のうち、ニューサウスウェールズ州やビクトリア州はサマータイムを実施していて、メルボルンと中国の間には3時間の時差。大晦日の19時過ぎに上海を発ち、機内で新年を迎え、オーストラリア大陸上空で2019年の初日の出を拝みます。
▲ もうすぐ2019年の初日の出
ほぼ定刻にメルボルンタラマリン空港に到着。出発前にETASに登録しておいたパスポートを、スマートゲートの読み取り機にかざして発券。顔認証でゲートを通って入国したら、パスポートに1月1日元旦のオーストラリア入国スタンプを押してもらえなかった。
▲ スマートゲートで入国
オーストラリア大陸南東部、ビクトリア州の州都メルボルンの人口は500万人で、シドニーに次ぐオーストラリア第二の都市。安全性、医療、文化・環境、教育、インフラの5項目の評価で、2011年から2018年まで、7年連続で世界で最も住みやすい都市の第一位に選ばれています。
空港内のATMで、オーストラリアドルをクレジットカードのキャッシングで入手。赤い二階建てのスカイバスでメルボルンサザンクロス駅に向かいます。おっ、バスの前輪が2軸だ。
▲ 駅構内のバールで昼食
車窓にメルボルンの高層ビルが見えてきて、サザンクロス駅に到着。ここから市内のホテルを巡回するバスに乗り換えて、最寄りの停留所までの料金が払ったバス代に含まれているらしいが、市の中心部でトラムが無料になる区域内にホテルを確保しているので、巡回バスを待たずに駅前からトラムで向かいます。
▲ バスの二階の車窓からメルボルンの高層ビルが見えてきた
駅横の三叉路の交差点を曲がってきたのは、3車体連節の低床車、ボンバルディアのフレキシティースイフト。窓にメイド・イン・メルボルンと大きく書いているので、市内で製造しているらしい。メルボルンのトラムの型式は、AからZの文字が順に割り振られていて、この車両は最新型のE型。
▲ サザンクロス駅前はトラムの無料区間
▲ E型の車内
ホテルに荷物を置いて、この日は無料区間のトラム三昧にしようとやってきたのは、近郊列車の発着するヤラ川沿いのフリンダースストリート駅。市内を網の目のように走り郊外の足を延ばす、メルボルンのトラム路線の総延長は250km。ロシアのサンクトペテルブルクのトラムの路線が縮小されつつあり、今ではメルボルンが世界最大のトラムのネットワークを有するのだとか。
フリンダースストリート駅前の交差点には平面交差があり、縦横にトラムが行き交います。26年前に比べ、トラムの多くはアルストーム、シーメンス、ボンバルディアの低床連節車に交代したものの、当時の主力だった地元のコメンジ(1990年にABBトランスポーテーションに売却され現在はボンバルディア)製の高床車もまだまだ健在。
▲ 35系統シティーサークルのW型
島式ホームに停車しているのは、メルボルンのトラムの標準型として1923年から30年以上にわたって地元で750両以上製造されたW型。前回の訪問時にはポール集電で、市内のどこでも見られたが、今はトラムの無料区間を一回りして分岐線からドックランドに至る35系統専用車として生き残っています。ガイドブックにはシティーサークルはチョコレート色とあるものの、やってくるW型は緑とクリームの昔のメルボルンのトラムの標準色。
▲ フリンダースストリート駅の時計塔とW型
駅前の交差点に面して建つセントポール大聖堂を背に、平面交差を渡るZ型は、同じコメンジ製の香港軽鉄(ライトレール)と同じ顔。前回の訪問時にはポール集電で、前と中の非対称2扉のZ型を撮っているが、低床連節車の導入による生き残りは、1979年以降に製造された3扉のZ3型だけらしい。
▲ セントポール大聖堂を背にZ3型
クルマに被られてしまったけど、駅舎を背に平面交差を渡るA型。Z3型をモデルチェンジして1980年代につくられ、3扉ながら後部の扉を前方に移設。
▲ フリンダースストリート駅を背にA型
A型を2車体連接車にしたようなB型。1980年代半ばから、トラムに転換した郊外の鉄道路線用に導入された型式。前回の訪問時の写真でも、当時最新型のこの型式は、シングルアームのパンタグラフを装備しています。
▲ フリンダースストリート駅を背に連接車B型
B型の車内は、クロスシートと腰当ての付いた長手方向の立ち席。変わった形状の吊手がぶら下がる。
▲ トラムB型の車内
この付近ではC型を見かけなかったので、1型式飛ばして、D型はシーメンスのコンビーノ。2000年代の初めに導入した低床車で、3500番台の3車体連節車のD1型。
▲ 3車体連節のコンビーノD1型
こちらの5000番台は、5車体連節車のD2型。
▲ 5車体連節のコンビーノD2型
フリンダースストリート駅前は、観光馬車も通ります。
▲ 観光客を乗せた馬車が行く
それでは、35系統シティーサークルの外回りに乗ってみることに。ガイドブックでは運転間隔が12分になっているけど、なかなか来ない。他の系統は停留所に時刻表があるのに、35系統だけは何故か空白。GoogleMapの停留所のマークから系統別の時刻を見ると、運行間隔が30分に開いていて、これでは使えない。W型の多くの車両が衝突時の安全基準を満たしていないとのことが判明し、車体や機器を更新して緑とクリームの塗分けになった基準を満たす車両のみが運行についているらしく、車両不足によるものかもしれません。シティーサークルの標準色だった未更新のチョコレート色は、滞在中一両も見かけませんでした。
▲ フリンダースストリート駅から35系統シティーサークルのW型に乗車
セミクロスシートのW型の車内。無料区間専用車なので、車内にメルボルンとその周辺の公共交通機関共通のICカード、myki(マイキー)の読み取り機はありません。
▲ W型の車内
運転室は客室から独立していて、乗務員室扉も装備。
▲ W型の運転席
シティーサークルの北東端で枝線が分岐して1停留所、35系統の終点ウオーターフロント・ドックランズシティーに着いても、ほとんどの乗客は降りずにそのまま折り返してシティーサークルへ戻ります。翌日と翌々日にサザンクロス駅から列車に乗るので、駅構内の下見をしておこうと、サザンクロス駅方面の系統と交差する停留所で下車。
▲ 交差点で乗り換え
スペンサーストリートでE形に乗り換え、サザンクロス駅へ。
▲ E型が行き交うサザンクロス駅近くの通り