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トラム博物館の見学を終え外に出ると、先ほど GOLD MINE で待機していた302号が JOSS HOUSE の方向幕を表示して乗客を待っています。トラム博物館に立ち寄るのは JOSS HOUSE 行きだけ。GOLD MINE 行きは分岐線には入らず、表の電車通りを真っ直ぐに通過していきます。
▲ JOSS HOUSE行きの302号
302号は1925年米国ブリル製の2軸車。アデレードのトラムが導入し、1936年にメルボルン郊外のジーロンに譲渡。1947年にベンディゴに来てから1972年の通常運行の廃止まで稼働。バーニーカーと呼ばれる、米国で普及したコストを削減しながら運行頻度の向上を目指す、小型軽量でワンマン運行に適した車両で、ドアは前方の運転席横に1個所だけ。車内は転換式のクロスシート。
▲ 302号の車内
運転席の機器は、制御器とブレーキ弁、右にハンドブレーキの標準的な配置。正面の窓ガラスに吸盤でドライブレコーダーを取り付けている。
▲ 302号の運転席の機器類
運転士が乗ってきて発車。表のメインストリートに出ると、トラム博物館から先は旧市街が終わり郊外の雰囲気。
▲ 沿線は郊外の雰囲気になってきた
幹線道路から横に入ったところが終点の JOSS HOUSE。本来はワンマン運行用の車両だけど、車掌さんも乗車していて、終点ではポールを後ろに付け替えるポール回しが行われます。
▲ 車掌さんがポール回し
しばし休憩の後、302号は折り返していきます。
▲ GOLD MINE に向かう302号
トラムの終点、JOSS HOUSE のすぐ先に、V/Lineの踏切。踏切の先に中国仏教の寺院があるので、30分後の次のトラムまでの時間つぶしに行ってみることに。
▲ V/Lineの踏切
中国寺院の名前は BENDIGO JOSS HOUSE TEMPLE。トラムの行き先はこれでした。
▲ 中国寺院 JOSS HOUSE
このお寺、三国志の関羽を祀っているらしい。ゴールドラッシュの時代に、金鉱の労働者として中国人移民が働いていたことから、1871年に建立され150年。街中のキリスト教の大聖堂より歴史があります。
▲ 関羽を祀る中国寺院
踏切警報機が鳴り始めたので待っていると、ディーゼル機関車が牽引する客車列車のV/Lineが通過。
▲ ディーゼル機関車が牽引するV/Line
ディーゼルカーへの置き換えで本数は少なくなったが、客車列車もまだ残っています。ローカル列車ながら時刻表のマークから、客車列車はビュッフェを連結しているようです。
▲ 客車列車のV/Line
今度は、ベンディゴで交換したディーゼルカーが踏切を通過。ディーゼルカーの増備が続き、客車列車からの置き換えは進行中だが、ビュッフェ付きのディーゼルカーの新造も検討されているらしい。
▲ V/Lineのディーゼルカー
次のトラムは44号が来るかなと期待していたけど、姿を見せたのは最初に乗った369号。
▲ 369号が JOSS HOUSE にやってきた
乗り放題チケットだから、もう一度 GOLD MINE まで乗車。ここで44号がポールを降ろして休んでいました。
▲ トラムの終点 GOLD MINE
この44号の履いている台車が面白い。モーターの付いた動輪とモーターのない付随輪の経が大きく異なる、Brush 22E型マキシマム台車。米国のブリル22Eの図面をもとに英国で製造したらしい。動輪の軸重を増やしてスリップ防止になるとのことで、20世紀のはじめのボギー台車に採用され、ベンディゴトラムでは他にも使用している車両があるが、脱線しやすいという欠点のため、その後は車輪径の極端に異なる台車は廃れたのだとか。
▲ 車輪径の大きく異なる44号の台車
44号の車内は3室に分かれ、台車の上で床が一段高くなった部屋はロングシート。ボックスシートの間に3個所の出入り口のある中央の部分は、前後のオープンデッキと同様に、乗降の便を考えて床を一段下げています。
▲ 台車の上は床が一段高くロングシート
20世紀のはじめに低床車の発想があったんですね。
▲ 中央部は床が一段低い
金鉱博物館からチャリングクロスまで乗車したのは、また369号。徒歩でベンディゴ駅に戻ってきました。
▲ ベンディゴ駅の駅舎とホーム
メルボルンへの帰りのV/Lineも、往きと同じディーゼルカー。メルボルン側の先頭車に乗ったら、車内に Quiet carriage の表示。エレクトリックデバイスをオフに、携帯電話をサイレントモードに、お話しは静かにとのこと。日本では車内の携帯電話は禁止だけど、延々と続くおばさんのおしゃべりは電話よりうるさい。JRにも Quiet carriage を導入して欲しいものです。ちなみに、ヨーロッパの列車の一部にも設定があります。
▲ Quiet carriage の表示
車掌さんが検札に来ました。半パンでラフな夏の制服。
▲ 車掌さんの検札
ベンディゴからメルボルンまで2時間。こんな車窓が続きます。
▲ V/Lineの車窓
▲ V/Lineの車窓
牧草地には、刈り取った牧草のロールが散在。
▲ 牧草のロールが散在
車窓にメルボルンの高層ビルが見えてきて、
▲ 車窓にメルボルンの高層ビル
メトロの北メルボルン駅の上を乗り越えると、
▲ メトロの北メルボルン駅
終点のサザンクロス駅に到着。
▲ サザンクロス駅に到着したV/Line
乗車時には気付かなかったけど、隣のホームのディーゼルカーも、メルボルン側の先頭車には Quiet carriage の表示。
▲ Quiet carriage
夕刻のラッシュ時には、ディーゼルカーは2編成併結になり、客車列車の出番が増えます。30年前は、日本の鉄道もそうでしたね。
▲ 客車列車
側面に両開き扉が2個所の近郊型客車の車体は新しいけど、台車はオールコイルバネでも、ちょっと古風なイコライザー式を履いています。
▲ 客車の台車
先頭に立つのは、動輪が6軸のディーゼル機関車。
▲ 客車列車を牽くディーゼル機関車
頭端式の3番線を前後で3Aと3Bに分け、2本の客車列車が発車待ち。
▲ 2本の客車列車が縦列停車
ホームの先端まで来ると、線路を横断する長い陸橋をトラムが渡っていきます。
▲ 陸橋を渡るトラム
サザンクロス駅から無料のトラムでホテルに戻り、1日が終わります。
▲ 無料区間のトラムでホテルへ