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パッフィンビリー鉄道のヴィンテージ客車

2番線に停車中の客車を順番に見ていきましょう。多くの客車は、車番を台枠の側面に記入しています。編成の両端には、乗務員室とハンドブレーキを設けた緩急車を連結。

▲ 先頭の緩急車

ジェムブルック側に連結されているのは、ダブルルーフにオープンデッキの木造古典客車。機関車との連結面側の側窓3つ分がロングシートで、乗務員(他の客車ではこの部分に Guard と記載されているので警備員?)室として使用。

▲ 乗務員室

残りの側窓9枚は、テーブル付きのボックス席。車両番号の2NBDのうち、Nはナローゲージ、Bは2等、Dは1910年以前の乗務員室付きの車両を表すそうで、今から110年以上前に造られたヴィンテージ客車。

▲ NBD型の客室

編成の中間の6両は、シングルルーフで車体の中央部に外に向いたロングシートのある、観光用客車のNBH型。Hはホリデーを表すらしい。1NBH〜15NBHは1919年製。同じ仕様の16NBHと17NBHは1981年製で、51NBHと52NBHは1981年と1983年製の車椅子に対応した設備の客車。

▲ NBH型の客室

同じNBH型でも、1997〜1998年製の18NBH〜23NBHは、車端部の座席の向きが異なり、クッション付きに改良。外観は、80年前の車両と変わりません。

▲ 新しいNBH型の客室

ベルグレーヴ側に連結されている緩急車は、ダブルルーフに6個所のコンパートメントのドアがある木造古典客車。車番の26NACのCは緩急車、今は2等車だけどAは昔の1等車かもしれません。製造時期は1910年以降のようです。

▲ NAC型の緩急車

個室には種類があり、NBH型との連結面の車端部は向かい合わせのシート。この座席からみて、もとは1等車でしょうね。NBH型で窓に腰掛け足を投げ出せないのなら、このヴィンテージ車両に乗れば良かった。帰りの列車では是非と思ったのに、連結していなくて残念。

▲ NAC型のコンパートメント

座席が片側だけの狭い部屋。

▲ NAC型の狭いコンパートメント

窓を背にした座席も配置した広い部屋。

▲ NAC型の広いコンパートメント

ベルグレーヴ側車端部のコンパートメント内には、ハンドブレーキを装備して、乗務員室として使用。

▲ NAC型の乗務員室

 

次の列車がレイクサイドに到着

10時半にベルグレーブを出発した2番列車が、定刻より6分ほど遅れてレークサイド駅の1番線に到着。

▲ 2番列車がレイクサイドに到着

牽引機は、1912年製の12A号。横で待機する7A号と同型だが、ヘッドライトの大きさだけが極端に異なります。

▲ 牽引機は12A号機

2番列車の編成は、全車が座席が外向きの観光用NBH型客車の10両編成。両端には、車端部に窓ガラスの入った乗務員室を備えた緩急車、NBHC型を連結。

▲ レークサイド駅1番線に入線した2番列車

定刻では折り返しまでの時間が10分。遅れて到着したのでもう時間がありません。すぐに2番線で待機していた7A号機を1番線のベルグレーヴ側に連結。

▲ 機関車の連結作業

折り返しの準備が整います。

▲ すぐに折り返し運行の機関車7A号機を連結

ここまで2番列車を牽いてきた12A号機は切り離され、2番線に転線してジェムブルック行きの先頭に連結。牽引機が交代するけど、2本の列車が同時に線路を塞いで、機回りができないので、この方法しかありません。

▲ 転線してバックでジェムブルック行きに連結する12A号機

 

レイクサイドからベルグレーヴへ

7A号機の牽く、折り返しのベルグレーヴ行きに飛び乗るとすぐに発車。

▲ 長閑な風景

パンフレットに掲載されていない駅を通過。

▲ リクエスト停車の駅でしょうか

ベルグレーヴ行きは、機関車が逆向きで牽引。

▲ 踏切を行く

エメラルド駅に停車。ここから乗ってくる乗客も。

▲ エメラルド駅

途中で通過した駅の側線に、車両の部品を積載した貨車が留置。

▲ 機関車のボイラでしょうか

見晴らしの良いところを通って、

▲ 遠くまで見渡せる

メイジーズクリーク駅で3番列車と交換。

▲ メイジーズクリークに到着

交換した列車の牽引機は、黒い8A号機。次位の緩急車は、ダブルルーフの木造車、荷物室と乗務員室だけのNC型。1910年代の製造らしい。

▲ 8A号機とNC型緩急車

朝の往路と違い、復路ではこの駅で一定の乗降があります。

▲ メイジーズクリークの乗降客

交換列車の最後尾には、NAC型の緩急車を連結。その後ろには、ファイヤーパトロールが控えています。

▲ NAC型緩急車とファイヤーパトロールのクルマ

列車はベルグレーヴに向けてラストスパート。

▲ ベルグレーヴに向けラストスパート

下り勾配なので絶気で、木造のモンブルク・クリーク・トレッスル橋を渡ります。

▲ モンブルク・クリーク・トレッスル橋

終着の直前に信号所があり、4番列車と交換。機関車は撮り逃がしてしまったが、編成の後部に屋根のないオープンタイプのNQR型客車を連結。1990〜1992年の製造とされているが、古いボギー貨車の荷台に座席を取り付け、側面あおり戸の中央部を切り欠いて出入り口の柵を取り付け、周囲の上部に手すりを巡らせる改造をしたものと見受けます。この車両は、夏期のピーク時だけに連結されるのだとか。

▲ オープンタイプのNQR型

列車の最後尾はNC型緩急車。列車の後ろには、やっぱりファイヤーパトロールがついている。

▲ NC型緩急車とファイヤーパトロール

 

ベルグレーヴに到着

レイクサイドから1時間、列車はほぼ定刻にベルグレーヴに戻ってきました。

▲ ベルグレーヴに到着した列車

牽引機7A号機はすぐに切り離さされて転線。

▲ 7A号機が転線

今朝見かけたディーゼル機関車HD59号と同型のHD5号が、ボンネット側面の扉を開けて停車中。キャタピラ製の黄色いエンジンの一部が見えています。

▲ 7A号機とDH5号機

その向こう側に、半分隠れて写っている黒い蒸気機関車。後で調べてみると、これは1926年に英国のピーコックが製造した、軸配置1C+C1のガーラット型蒸気機関車G42号機。1962年に本機を運行していたビクトリア州鉄道の別の狭軌路線が廃線になった時、博物館で静態保存するためにパッフィンビリー鉄道に移籍。2004年に動態に復活させたものだとか。全体をカメラに納めに行くべきでした。

この他にも、台湾阿里山のシェイギヤードロコをはじめ何両かの小型の蒸気機関車が保存され、一部は動態に復元されているとのことですが、定期列車の牽引には使われず、訪問時には休館中だった博物館にいたのか、沿線や駅構内では見かけることはありませんでした。

現地訪問後の2019年末には、南アフリカから中古で輸入してあったピーコック製、軸配置1C1+1C1のガーラット型蒸気機関車、G16号機を動態に復元して、G42号機とともに最大16両の長い編成の列車の牽引を始めたとの情報もあります。

▲ ディーゼル機関車の向こうにガーラット型蒸気機関車

パッフィンビリー鉄道のベルグレーヴ駅からメトロのベルグレーヴ駅に戻る途中で見かけた、ダブルルーフにオープンデッキ、ニコニコ窓の木造客車。パッフィンビリー鉄道の客車に比べ背が高く、優美な姿に“First”の標記。今朝は手前に別の列車が停まっていたため、側面が見えませんでした。

調べてみると、1963年に廃止されたタスマニア島のマウントライエル鉄道から4両の車両を譲り受け、食事を提供するランチ列車やディナー列車に使用しているようです。車体の側面中央には“DUBBIL BARRIL”のプレート。

▲ ランチ列車やディナー列車の客車

もう1両には、“TEEPOOKANA”のプレート。いずれもタスマニア島の地名で、マウントライエル鉄道にあった駅名のようで、これらの客車の出身地を今に伝えています。

▲ ランチ列車やディナー列車の客車

その隣に連結しているのは、パッフィンビリー鉄道生え抜きの2等客室と荷物室、乗務員室を備えたNBC型緩急車。同じ古典客車でもイメージが全く異なります。

▲ NBC型緩急車

 

メトロでメルボルンへ

広軌のベルグレーヴ駅にメトロが到着。折り返しの電車に乗ってメルボルンに戻ります。

▲ メトロが終点のベルグレーヴに到着

メルボルン市内で行われていた線路工事の横を抜け、

▲ メトロの線路工事を実施中

フリンダースストリート駅に帰着。

▲ メトロのフリンダースストリート駅