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XPTの発車時刻に十分すぎる余裕をもってチェックインしたので、19:50の発車まで時間が余り、駅前の交差点でトラム見物です。トラムは系統により使用する車両の型式がほぼ限定されているようで、この場所にに来るのは多くが新しい低床の連接車。35系統のシティーサークルのW型は通りません。
▲ 駅を背にE型トラム
▲ 交差点を行き交うC2型とE型トラム
▲ C1型が坂を下りてきた
▲ 交差点を曲がるA型とC1型トラム
▲ 交差点を渡るC1型トラム
▲ 交差点を曲がるC1型トラムに夕日がギラリ
駅構内に待合スペースがあり、その上にはスーパーマーケットも入っています。
▲ 駅の待合室 2階にスーパーマーケット
メール添付のPDFファイルで送られてきたe-チケットは、Myki の自動改札には対応していないので、専用のこんなゲートからホームに入ります。
▲ XPTの乗客はここから入る
乗車の前日、ベンディゴからの帰りに撮った発車案内。行先と発車時刻、停車駅が表示されているけど、数えてみると途中14駅に停まります。
▲ 発車案内
XPTが入線している駅舎側の1番線は頭端式ホームで、機関車用の機回り線はなし。XPTは両端の2台のディーゼル機関車の間に6両の客車を挟む動力集中式。流線型の機関車は、ロンドンで見かけた高速列車インターシティー、HST-125のディーゼル機関車と同じ顔をしていて、英国の技術導入で地元のコメンジが製造したらしい。最高速度はHST-125の125mph(200km/h)に対して、XPTは160km/h。
この写真のレールをよく見ると、右側の線路は狭い間隔で2本並んでいます。
▲ XPTの両端に連結された機関車
列車の号車番号はアルファベットで示され、メルボルン側の機関車の次位、A号車が個室寝台車。それぞれの2室の間にトイレとシャワー室があり、片側の車端部の部屋は1室に専用のトイレとシャワー室。3名用の座席の上に2組のシーツや枕カバーらしきものが用意されていて、この座席の背を手前に倒すと下段のベッド、壁に収納しているベッドを手前に倒すと上段の寝台になる2人部屋。
座席が3名なのは、昼間の列車では3名個室のファーストクラス席となるから。座席の背はリクライニングしないと思われ、こんな狭い部屋で真ん中の席にでもなったら最悪ですね。
▲ 寝台車の車内
隣のB号車は、オープンタイプのファーストクラス。エコノミークラスと同じ回転式2人がけの座席のようで、シートピッチが多少広く、リクライニング角度が大きいらしい。C号車はファーストクラスとビュッフェの合造車。
▲ ファーストクラスの車内
D号車とE号車の2両は、エコノミークラス。JRの特急なみの回転式2人がけの座席だけど、シートピッチは十分で、フットレストも付属。窓と座席の配置が悪く、窓側席ならぬ壁側席が多数。
▲ エコノミークラスの車内
ファーストクラスとエコノミークラスは、NSWトレインリンクの公式ホームページでネット予約に対応しているが、寝台の予約はシドニーに国際電話では、ちょっとハードルが高い。旅行会社にそれなりの手数料を払えば手配してくれるだろうけど。ということで、ネットでエコノミー席を購入。クリスマスから年始は、年間60日ほどのピークシーズン料金で、定価から10%のネット割引でAU$117.23、9,500円程度。東京−広島に相当する距離からすれば、物価の高いオーストラリアでJRより安い運賃。ショルダーシーズンなら35%、オフシーズンは50%引きになるのだとか。
▲ エコノミークラスの車内
シドニー側の機関車の次、F号車はエコノミークラスと荷物室の合造車。
▲ エコノミークラスと荷物の合造車
荷物室の車内を覗くと、乗客がチェックイン時に預けた荷物が積み込まれています。各車両にも車端部に小さいながら荷物スペースがあり、窓上の棚に乗せることもできるので、慣れた乗客は荷物を車内に持ち込んでいるようでした。
▲ 荷物車の車内
機関車の前方の線路を見ると、レールが3本の三線軌条。植民地時代からの経緯があり、ヴィクトリア州の鉄道の軌間は広軌の1600mm。一方、XPTを運行するニューサウスウェールズ州は標準軌の1435mmを採用。ヴィクトリア州内で、XPTが乗り入れる路線は1600mmと1435mmを並べた三線軌条として、どちらの列車も走行が可能にしています。
三線軌条のポイント部分はちょっと複雑で、1番ホームの先では広軌の線路だけが右に分岐し、三線軌条は左にのみ分岐。ポイントのクロッシング部分を単純化するため、トングレールまでの部分では左側のレールを広軌と標準軌で共用し、クロッシング部の手前から先は右側のレールを共用に切り替える構造。
▲ 三線軌条のポイント
隣の2番線のポイントは直線側、分岐側とも三線軌条で、その右側の機回り線も三線軌条。列車が停車している3番線と、その左側の機回り線は広軌のみになっています。従って、サザンクロス駅でXPTが入線できるのは、1番線と2番線だけ。
▲ 三線軌条のポイント
エコノミーでは、座席番号が奇数は窓側、偶数は通路側で、ネットからの購入時には座席位置は選べません。指定された席はD号車42番の通路側だったけど、隣席のベトナム人の女性から替わってほしいと依頼され、飛行機なら断るところだけど、座席回りに多少の余裕があったのと、窓と座席が絶好の位置関係だったので窓側席へ移動。
シドニー行きのXPTは定刻に発車。窓から見える三線軌条は、この先のヴィクトリア州とニューサウスウェールズ州の州境まで続きます。
▲ 隣の線路も三線式
車両基地に待機するディーゼル機関車が車窓を横切ります。車体側面の表記から見て、シドニーに本社があり、ニューサウスウェールズ州とヴィクトリア州で貨物列車を運行する、Pacific national 社のNR型ディーゼル機関車。
▲ 車窓のディーゼル機関車
このNR18号の車体には、INDIAN PACIFIC の文字と鷲のマークが描かれています。インディアンパシフィックは、西海岸でインド洋に面するパースと、東海岸で太平洋に面するシドニーを結ぶ大陸横断列車。インディアンパシフィック号の牽引機は、パシフィックナショナル社の所属なのでしょうか。でも、それがなぜメルボルンに。調べてみるとこの機関車は標準軌らしく、州間の貨物列車は、XPTと同じ三線軌条の線路を走行しているのかもしれません。
▲ 車窓の機関区
夕食は車内で。サザンクロス駅2階のスーパーマーケットかった弁当と、構内の持ち帰り寿司の売店 Papa Sushi で買った巻物。
▲ 今夜の夕食
発車して40分、時刻は20時30分ごろ。夏の陽が西に傾き影が長くなる中、列車は郊外を走行中。放牧の羊でしょうか。
▲ 放牧の羊?
こちらは牛。オージービーフになって日本に来るのかも。すっかり暗くなった21時30分、就寝タイムに入るのか車内の照明がいきなり消灯。以後読書は、窓上の個別のスポットライトで。
▲ 車窓のオージービーフ
オーストラリア4日目の目が覚めたのは、朝の6時前。外はすっかり明るくなり、列車は快調に走行中。決して広くはない座席、しかもピークシーズンのため満席だったけど、途中の停車駅に気づかずに寝られました。トイレに立ったついでに、隣の車両のビュッフェを覗いてみることに。
▲ 連結面 号車番号はアルファベット
ビュッフェがあるのは合造車で、半室はファーストクラス。貫通路の窓ガラス越しに見た範囲では、エコノミークラスとの違いがよく分かりません。
▲ ビュッフェと合造車の1等室
ビュッフェは朝の6時前にはすでに開店。売店のみで、イートインコーナーは無し。
▲ ビュッフェ
コーヒーとパンを注文したら、こんな段ボール箱に入れて渡してくれました。席まで持ち帰る時にカップが倒れないよう、よくできています。
▲ 朝食は自席に持ち帰って
食事中に、ホームにローカル列車が停車している駅に入線。時刻はもうすぐ6時10分。
▲ ローカル線のディーゼルカーのいる駅に到着
シドニー到着までまだ50分ほどあるけど、ここで大勢の乗客が下車。シドニー郊外の途中駅の乗客には、夜行列車は便利な存在なのかもしれません。
▲ この駅で大勢下車する
発車時に駅名を確認すると、シドニーまでの最後の途中停車駅、キャンベルタウン。明日またここまで、メトロに乗って来る予定。
▲ キャンベルタウン駅
メルボルンから800km余りを11時間、朝の7時前に終着シドニーセントラル駅に到着。オーストラリアの鉄道は正確です。XPTはメルボルン以外にシドニーとアデレードやブリスベン等の間でも運行していて、頭端式のホームには4本の列車が並びます。
▲ 時計塔の立つシドニー中央駅に到着
下車したホームがメルボルン乗車時と反対側だったので、窓の外から寝台車の廊下側の写真が撮れました。寝台は片付けられ座席になっていて、左の扉が個室2室の4名で共用するシャワーとトイレ。
▲ 寝台は座席になっていた
荷物車の前で、メルボルンで預けた荷物を受け取り。
▲ 荷物を受け取り
列車が到着したのは、地上階の頭端式ホーム。隣接して高架と地下にメトロのホームがあり、上野駅とよく似た構成。シドニーセントラル駅も26年ぶりだけど、変わっていないよう。
▲ 先頭の機関車
▲ XPTの編成
頭端式ホームからコンコースへ。
▲ 地上階のコンコース
ホテルの向かうため駅の側面の出口から外に出たところで、トラムの軌道を新設する工事中。屋根のついたホームも、ほぼ出来上がっている。
▲ トラムの敷設工事中
工事中の軌道は、メトロのガードをくぐって、駅の正面の方向に回り込んでいる。駅の正面の2階から発着する既設のトラムとは別に、新設路線の工事らしい。
▲ トラムの敷設工事中