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ヴィクトリアンゴールドフィールズ鉄道のヴィンテージ客車

停車時間の間に、J549号機が牽引してきた5両の客車を順番に見ていきましょう。蒸気機関車より、100年前のヴィンテージ客車の方が価値があるような。

機関車の次位に連結されてきて、復路モルドンに向かうときは最後尾となる、ダブルルーフの木造車は展望車。

▲ 展望車Tambo

車体側面の窓上には、“ジ・オーバーランド”の切り抜き文字。窓下の“TAMBO”はこの客車の愛称でしょうか。ヴィクトリア州営鉄道の自社工場が1919年に建造して、長距離路線の優等列車で運行してきた車両。車体側面の後方にパーラー、前方にスリーパーと書かれているので、広窓の部分が展望室、2連の狭窓の部分が寝台でしょう。ヴィクトリアン・ゴールドフィールズ鉄道では、ファーストクラス(1等車)として運用されています。

▲ 側面に ジ・オーバーランド と TAMBO の表示

展望室部分には、窓に背を向けて1人がけの籐の椅子が並んでいます。

▲ 籐の椅子が並ぶ車体後方の展望室

寝台の部分は片側廊下で、個室内では座席の背ずりを座面の上に倒して下段の寝台とし、壁面に収納している上段の寝台を手前に倒して設置する2段寝台の構造らしい。

▲ 前方の個室寝台

2部屋続きで間にテーブルを設けた、4人用の広い個室も。

▲ 広い個室もある

後ろから2両目は、ダブルルーフで車体にリベットの並ぶ鋼製車。車体側面の窓上には、“プルマン”の文字。窓下の“Macedon”はこの客車の愛称でしょうか。英国イングランド南海岸のブライトンにあった、プルマン・キャリッジ社で1928年に製造。

▲ 1等車のMacedon

車内には、1人がけのソファーが並び、この列車では、ファーストクラス(1等車)として運用されています。これら2両のファーストクラス車は、乗車券がないと乗れないので、窓越しに車内を撮影。

▲ ソファーが並ぶ1等車の車内

5両編成の中央、3両目は丸屋根の木造車。車体中央の番号は43BPL。ビクトリア州営鉄道が1921年に建造して、都市近郊路線で運行してきた客車で、側面の窓上には2ndの表示。BPLはセカンドクラス(ファーストクラスはAPL)を表すのだとか。ヴィクトリアン・ゴールドフィールズ鉄道では、この車両の乗降には入り口に車いすマークがある中央の扉だけ使用し、その部分の車内は、車いすやベビーカースペース確保のために、一部の座席を撤去したものと推測します。

▲ 2等車の43BPL

片側3ヶ所にドアがあり、車内は中廊下の4人がけと6人がけのボック席。車内の数か所の仕切りで、喫煙室と禁煙室や女性専用室等に区分。

▲ 車体中央部のドア周辺は車いすスペース

トイレを含む片方の車端部はロングシートで、女性専用席。その隣は、向かい合わせの座席間に乗降扉を設置する英国式。

▲ ロングシートの女性専用席の隣は4人と6人のボックス席

後ろから4両目はダブルルーフの木造車。車体の番号は41BU。ビクトリア州営鉄道が1925年に建造した車両で、車体にはECONOMYの表示。ヴィクトリアン・ゴールドフィールズ鉄道でもセカンドクラス(2等)として使用。

▲ エコノミー表示の41BU

車内は片廊下で、ドア付きのコンパートメントが並びます。

▲ 片廊下のコンパートメント

コンパートメントの内部は、向かい合わせのゆったりとした座席。

▲ コンパートメントの内部

ドアと車端部の間のロングシートには、窓を避ける形で枕を設置しているのが面白い。もう一端の車端部にはトイレを設置。

▲ 車端部にロングシート

一番前は、丸屋根になった以外は41BUとよく似た木造車で、車体番号は80BW。ビクトリア州営鉄道が1926年に1等と2等の合造車として建造した61ABWを2等に格下げした車両で、両端のドア付近には2ndの表示。ヴィクトリアン・ゴールドフィールズ鉄道でも、セカンドクラス(2等)として使用。写真の向こう側、2連の窓3組がもと1等で、窓の間の柱の幅が広くなっています。中央の独立した1つの窓の部分は、女性用トイレ。

▲ 2等車80BW

車内は、片廊下でコンパートメントが並びます。

▲ 片廊下のコンパートメント

コンパートメントの内部は、向かい合わせの座席。

▲ コンパートメントの内部

車端部には、ロングシートのある男性専用室と男子用トイレ。

▲ 車端部の男子トイレとロングシート

車体の中央部に女子トイレ。

▲ 女子トイレ

列車の乗客の多くは、クルマをモルドンにおいてキャッスルメインまで一往復の乗車らしく、折り返しの列車に乗って帰るようです。モルドンまで行けば車両基地があり、この編成以外にも保存車両に出会えるのだとか。

 

機関車を連結

ヴィンテージ客車の車内を見学しているうちに、ターンテーブルで向きを変えたJ549号機が戻ってきました。

▲ 機関車がターンテーブルで向きを変えて戻ってきた

客車の横をすり抜けた先で停車。ポイントを転換して、

▲ 前方まで行って

バックで列車の先頭に連結。

▲ バックで客車に連結

ブレーキ管をつなぎ、出発準備が完了。

▲ 配管接続作業

隣の線路にこんなトヨタのトラックがスタンバイ。タンクに水タンクを積んだ、簡易消防車らしい。

▲ 消防車が待機中

 

モルドンに向け発車

駅を出た先のカーブで、モルドンに向かう列車を撮ることに。線路にフェンスなどはありません。

先に、メルボルン・サザンクロス行き、V/Lineのディーゼルカーが通過。

▲ メルボルン・サザンクロス行きのV/Line

定刻の12時ちょうどに汽笛一声。

▲ キャッスルメインを発車

気温が高いのと重油炊きで、目の前を通り過ぎていく蒸機列車の煙はスカスカ。

▲ 重油炊きで煙はスカスカ

最後尾の1等展望車は3軸ボギー台車を履いている。

▲ 展望車は3軸ボギー台車

先を急ぐので、この列車には乗れなかったけど、展望車の後部デッキに立ってみたかったですね。

▲ 一路モルドンへ

間を空けて、列車の後を追う簡易消防車。蒸気機関車が排出する火の粉による沿線火災を防ぐため、初期消火に対応するためだそうで、重油炊きでも必要なようです。乾燥した晴天が続く夏のオーストラリアでは山火事の発生が多く、気象台が Total Fire Ban(火気使用厳禁)を発令すると、ディーゼル機関車の牽引に変更されるのだとか。

▲ 簡易消防車が追いかけていく

 

キャッスルメイン駅の周辺

駅の待合室に戻ってきました。周辺では食料の調達が困難なようで、メルボルンのコンビニで買った昼食を持参して大正解。

窓口に、真夏のクリスマスツリー。乗車にはICカードの Myki の使用が必須のため、駅で紙の切符は売らないのでここはインフォメーション。

▲ 駅の待合室

キャッスルメイン駅前の停留所に、路線バスが到着。

▲ 駅前のバス停

次のベンディゴ方面のV/Lineの発車まで、時間あるので駅の周辺を散策。交差点の角に建つ、屋根に THE MIDLAND とある2階建ては、ゴールドラッシュの時代の建築でしょうか。

▲ 駅前の交差点

その前の木陰には大砲が。

▲ 大砲が鎮座

鉄道の敷地内と思われる駐車場の向こうに、レンガ造りの倉庫でしょうか。その側面のコンクリートは、貨物ホームの跡ように見えなくもありません。

▲ レンガ造りの建物