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セントラル駅の中・長距離列車

オーストラリア5日目、シドニー2日目は、ニューサウスウェールズ州の鉄道の歴史を伝える鉄道博物館へ。これがシドニーからちょっと遠くて1日がかりの行程。まずはセントラル駅からシドニートレインズで、キャンベルタウンへ向かいます。メルボルンからシドニー行きの夜行列車に乗って、前日の朝に停車した駅です。

▲ セントラル駅の自動改札

発車時刻まで、まだ少し余裕があるので、セントラル駅の頭端式の地平ホームで列車見物。今朝もメルボルンをはじめ各地からXPTが到着。その隣にいるのは、DC1500Vの電化区間をシドニートレインズの運行区間を越えて先まで行く、NSWトレインリンクが運行するインターシティーの電車。

▲ XPTとインターシティーの電車

ステンレス製の二階建て。26年前のシドニー訪問時にはブルーマウンテンのあるカトゥーンバまで、このV型電車に乗った記憶があります。車内はゆったりとした転換式のクロスシートで、床下から吊りかけモーター音が響いていたような。

1970年から1989年まで、コメンジの車体に日本のメーカーの電機品の組み合わせで長きにわたって増備され、同一型式内に抵抗制御車とチョッパ制御車があるらしい。屋根上には、日本以外では見かけない下枠交差型のパンタグラフ。下に写真のあるH型の導入で、初期のV型は既に廃車済み。今後、韓国製の車体に、日本の電機品の新型式、D型が大量に導入されると引退予定だとか。

▲ NSWトレインリンクのV型電車

シティートレインズのA型をはじめとする、M型以降の各形式とよく似た二階建て車体で青い顔は、オスカーの愛称があるNSWトレインリンクのH型。上のV型の置き換えとして2006年から2012年に導入された、車体はオーストラリアのEDIレール、電機品は日本のVVVFインバータ制御。近郊用のM型やA形等との違いは、メーカー以外にインターシティー用としてのトイレの設置。

▲ NSWトレインリンクのH型

発車待ちのステンレス車体のディーゼルカーは、ニューサウスウェールズ・エクスプローラー。コメンジを引き継いだABBトランスポーテーション(現在はボンバルディア)が1990年代に製造したオーストラリア製、米国カミンズのエンジンを搭載した液体式ディーゼルカー。回転式クロスシートの長距離用のアコモデーションを備え、シドニーと州内の各方面や首都キャンベラ間の非電化区間まで直通運行。

手前の運転室付きで車体側面の窓にルーバーのある車両は、エコノミークラスと荷物室の合造車。窓の塞がれているところは荷物室でしょう。エコノミークラスの中間車と、運転室付きでファーストクラスとビュッフェの合造車の3車種で編成を組むのだとか。

▲ NSWエクスプローラーのディーゼルカー

 

シドニートレインズでキャンベルタウンへ

黄色のA型と同じ顔つきで色違いのオレンジ色は、2018年から導入されているシドニートレインズ最新のB型。メーカーはA型と同じ、中国の車体に日本の電機品。

▲ シドニートレインズB型

キャンベルタウンに向かうために乗車した、T8系統のマッカーサー行きもB型。

▲ 1階と2階の客室への階段

ドアから車端部はロングシート、一階と二階の部分は転換式クロスシートの座席配置はA型と同じ。8両編成の車内は、ご覧のように空席が目立ちます。

▲ 2人と3人の転換式クロスシート

車内の窓上に、最新型をPRするオレンジ色のステッカー。A型の愛称は Waratah でB型は Waratah 2 らしい。

▲ 新型車をPRするステッカー

途中のT2、T5系統との接続駅、グレンフィールドで黄色い顔のA形との出会い。乗務員室扉もプラグドアになっているんだ。

▲ シドニートレインズA型

複線電化のシドニートレインズが走る線路の隣、単線非電化の線路を並走する舶用コンテナを積載した貨物列車。よく見ると、貨車は2車体の間に台車のある連接車。

コンテナを乗せた貨車は連接車

 

キャンベルタウンに到着

セントラルから55分でキャンベルタウンに到着。電車はもう1駅先まで行くけど、ここでディーゼルカーに乗り継ぐために下車。

キャンベルタウンに到着したシドニートレインズのB型

この駅には車両の留置線があり、乗務員の基地もあるのか、終点まであと1駅を残して運転士が交代。

運転士が交代

隣駅のマッカーサーから先、非電化区間に直通する、始発のモス・ヴェール行きディーゼルカーに乗り換え。

▲ 電車からディーゼルカーに乗り換え

しばし停車後、シドニートレインズが発車していきます。

▲ シドニートレインズが発車

行き止まり式の4番線で乗り換え客を待つのは、この先のサザンハイランズ線を運行する、コルゲートのあるステンレス車体のエンデヴァー型。ABBトランスポーテーションが1990年代に製造したオーストラリア製、米国カミンズのエンジンを搭載した液体式ディーゼルカーの2両編成。今朝セントラル駅で見かけた、長距離用のニューサウスウェールズ・エクスプローラーとの差異は、塗り分けとローカル用の車内設備で、性能は共通らしい。

▲ エンデヴァー型ディーゼルカー

 

キャンベルタウン留置線の旧型シドニートレインズ

本線に並行する留置線は、シドニートレインズの旧型車のオンパレード。26年前のシドニー訪問時は、このスタイルの車両が主力でした。乗り継ぎの列車の発車までまだ20分余りあるので、今やシドニーのセントラル駅ではほとんど見かけなくなってしまった旧型車を、ホームからじっくり観察することに 。

▲ 旧型車が並ぶ駅横の留置線

旧型車は、4両+4両で8両編成を組んでいるようです。乗務員室扉にユニークな真ん丸の窓、開閉できないでしょうね。その前の乗務員室の窓が横引きの開閉式で、エアコン装備車の客室は固定窓。

▲ 旧型車が並ぶ駅横の留置線

K型は、大量に投入され一世を風靡したS型の後継車種。1980年代前半のゴニナン製の車体で、電機品は日本のMTTMの4両編成。標準軌で車体の断面は大きいとはいえ、オール二階建てでJRの215系のような一階の機器スペースはないため、台車の後部のわずかな空間以外は、屋根上に機器類を集中して装備しているのでしょう。

▲ 抵抗制御のK型

抵抗制御車に必須の抵抗器は、運転台後部屋根の進行右側の半分だけ、放熱のためカバーがなく、オープンにしている部分に搭載しているようです。

▲ K型の屋根上

ドアの上部にはエアコンを搭載したため、下枠交差型のパンタグラフは隣の付随車の屋根上へ。連結面に貫通扉はあっても幌がなく、通り抜けは非常時だけ。乗客の安全性を考慮してか、その後のM型は幌付きの4両貫通、A型やB型は8両貫通編成に。

▲ 通り抜けできないK型の連結面

K型は4両を2組併結した8両での運用らしく、運転室側を突き合せた連結面。

▲ K型の運転室側の連結面

キャンベルタウンを発車したディーゼルカーの車窓から見た側線のK型編成。その左にいるのはS型。

▲ 英国ピーコックのコピー

側窓の上部が開いているのは、エアコンを装備していないS型。コメンジまたはゴニナンの車体に日本の電機品を装備して、1970年代に登場した抵抗制御車で、現役最古の車種。撮影時点では、電動車に装備したパンタグラフが上がっているので、まだ生きているようですが、その後B形の増備に伴い型式消滅したとか。

▲ エアコンのないS型

 

キャンベルタウンからタフムアへ

エンデヴァー型ディーゼルカーの車内は、2人がけと3人がけの転換式クロスシート。この先、昼間の運転間隔は2時間程度に開くけど、乗客の姿はほとんどなし。

▲ エンデヴァー型ディーゼルカーの車内

電化区間は次のシドニートレインズの終点、マッカーサー駅まで。A型はここで折り返し。

▲ マッカーサー駅で折り返すシドニートレインズ

この先のサウスハイランズ線は、こんな丘陵地帯の長閑な車窓。

▲ 長閑な車窓

セメント工場なのか、重連のディーゼル機関車がホッパー車を連結。

▲ ホッパー車を連ねた貨物列車

ピクトン駅を過ぎた先で、進行方向右側に分かれていく単線の線路。鉄道博物館に続く、営業を廃止した路線で、ここを博物館列車が走ることもあるらしい。

▲ 単線の線路が分かれていく

キャンベルタウンから35分で、NSW鉄道博物館の最寄り駅タフムアに到着。駅は新しいようだが簡素なつくり。

▲ タフムア駅のディーゼルカー

ここまで、シドニーのセントラル駅を出発して、乗り継ぎの待ち時間も含め2時間。

▲ 去っていくエンデヴァー型ディーゼルカー

 

バスに乗り継ぎ鉄道博物館へ

下車時には、オパールカードをホームに建っている読み取り機にタッチ。

▲ ホームのオパールカード読み取り機

ここで路線バスに乗り換えです。

▲ タフムア駅

駅前には何もないけど、幹線道路まで出れば複数のスーパーマーケットなどが立ち並ぶ、ショッピングセンターのようななものやレストランもあります。鉄道博物館の看板も出ているけど、まだここから4km以上先。

▲ 鉄道博物館の看板

幹線沿いのKFCやガソリンスタンドの前にバス停のポールが立ち、ベンチではバスを待つ乗客らしき女性の姿。バス停には停留所名の表示も時刻表も何も無し。

▲ バス停のベンチで待つ乗客

この日は土曜日。事前にネットで調べたところでは、土曜ダイヤの場合11時にここから鉄道博物館経由のピクトン駅行きのバスがあるはず。時間になっても来ないけど、スーパーで買い物をして帰る客が待っているので安心、と思っていたら反対方向に走り去るバスの後ろ姿。

▲ シドニー・オペラハウス

この先が終点なのかすぐに折り返して来たバス。912系統のピクトン行きのはずが、表示している系統番号は900で行き先も違う。

▲ バスが来た

運転士にレイルウェイミュージアムに行くか尋ねると、乗れとのこと。バスはすぐに交差点を左折。うん、方向は合っている。 このバス、オパールカードが使えず現金払いで。

▲ 乗ったらすぐに左折

運転士にここだと言われて、サールミアで下車したのは私一人だけ。念のために、帰りのピクトン駅行きの時刻と乗車する停留所を確認すると、"また後で俺が来るから"とのこと。

ちなみに、タフムア−サールミア−ピクトンのバスは平日と土曜日で時刻が大きく異なり、日曜日には運行がありません。

▲ 下車したサールミアのバス停