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ビンツに到着

ホームには、ミュンヘン行きのICEとシュツットガルト行きのICが発車を待っていて、こんな北の最果ての島の奥まで、遥か南ドイツからDBの看板列車が乗り入れてきます。

▲ ビンツまで乗り入れるICとICE

ビンツの街には、DBのオストゼーバート・ビンツ駅の他にもう一つ、リューゲン狭軌鉄道(リューゲン軽便鉄道 RBB)のビンツLB駅があります。

これはリューゲン島の南東部の路線図で、薄い色は標準軌、濃い色は軌間750mmの狭軌で、いずれももとは東ドイツ国鉄DRの路線。左上でDBに接続する、標準軌のベルゲン・アウフ・リューゲンからプトブスLB、狭軌のプトブスLBからビンツLBを経てゲーレン、それに標準機と狭軌が重なる三線区間のプトブスLBとラウテルバッハ・モール間を運行するのが、1895年に開業したリューゲン狭軌鉄道 Rügensche BäderBahn(RBB)。

▲ RBBのホームページからもらってきた路線図

4月末のこの時期、オストゼーバート・ビンツ駅前広場では、ピンクの桜が満開。

▲ 八重桜が満開のビンツ駅前

ビンツは、ナチス・ドイツの時代からの高級リゾート地。観光の中心、海岸のプロムナードまで出てみたかったけど先を急ぐので、市内観光に行く同行者と別れ、ビンツLB駅に向かいます。

▲ 駅近くの住宅地

両方の駅の間が街の中心らしい。この道を真っ直ぐ行けば海岸へ。

▲ ビンツの街の中心部


蒸気機関車の牽くリューゲン軽便鉄道

徒歩で20分ほどで、三角屋根のリューゲン狭軌鉄道ビンツLB駅に到着。

▲ ビンツLB駅

駅前には、観光客を乗せてきたこんな汽車も横付け。400Volts E-Powerの表記があるので、電気自動車らしい。

▲ 汽車型のEV

ホームの切符売り場には行列ができています。DBの一日券は使えないので、ビンツLB駅の窓口でゲーレンまでと、折り返しのゲーレンからプトブスLBまで、2枚の切符を買い求めます。

RBBの狭軌路線では、毎日の全列車が蒸気機関車の牽引。日本のゴールデンウイークはまだ冬ダイヤで、機関区のあるプトブスLBが8:08の始発から21:06の終着まで2時間間隔の6往復。24.1kmを所要1時間15分、中間のここビンツLBで列車交換のダイヤです。

▲ 切符売り場の行列

5月下旬から10月初旬までの夏ダイヤでは、ビンツLBとゲーレン間に区間列車が増発になり、この間は1時間間隔の運行で、ゼリン・オストでも列車交換が行われるとともに、三線式のプトブスLBとラウテルバッハ・モール間に狭軌の蒸機列車が乗り入れることに。

▲ ゲーレン行きが入線

先にプトブスLBからやってきたゲーレン行き。99 4801号機が逆向きで8両の客車を牽引して入線。

▲ 蒸気機関車がバックで牽引

1938年にヘンシェルが製造した軸配置1Dのタンク機で、1999年にボイラを換装。

▲ 乗客の待つホームへ

列車は大勢の乗客が待つホームへ。緑とクリームに塗り分けた客車を中心に、編成の中間には緑一色のオープンカーと食堂車を連結。 食堂車は車体にリベットがあり、窓も一段で他の客車より歴史がありそう。

▲ オープンカーも連結

編成の最後尾、緑一色で切妻の客車は荷物車。自転車を乗せる場合は、ここに預かってもらうらしい。

▲ 最後尾は荷物車

続いてゲーレンからのプトブスLB行きを、99 4632号機が前向きで9両の客車を牽引して入線。1914年のVulcan製で軸配置Dのタンク機。御年100歳を超えるけど、1992年にボイラとシリンダを換装していて、今でもバリバリの現役。

▲ プトブスLB行きが入線

機関車のブラスト音がよく聞こえる先頭客車に乗車。鉄道ファンらしき中学生ぐらいの男の子と一緒にオープンデッキに出ると、目の前に逆向き牽引の99 4801号機の煙室扉。

▲ 1両目の客車のオープンデッキから

ちなみに99はドイツの狭軌の蒸気機関車の頭に付く記号です。列車は森の中を走り抜けます。

▲ 森の中を走行

連結器は、真ん中のバッファをはさんで両側の2本のねじを締める方式。

▲ バッファと螺旋式連結器

最初の停車駅は Jagdschloß。ドイツ語のシュロスは城なので、この駅の近くに城があるらしく、ここから乗車する乗客の姿も。

▲ Jagdschloß 駅に停車

このあたりで一旦車内へ。客室とデッキを仕切るドアの窓越しに機関車と対面。

▲ デッキの中学生

東ドイツ国鉄から引き継いだであろうボギー客車の車内は、4人がけと2人がけのボックスシート。中央のトイレは穴から線路のバラストの見える垂れ流し式で、暖房は煙突の付いたストーブ。

▲ 客車の車内

列車は最高時速30km/hで走行。森を抜けると、湖畔にかやぶき屋根の民家が点在する長閑な車窓。

▲ 茅葺き屋根の建物

▲ 湖畔を行く

湾曲したホームのゼリン・オストに停車。夏ダイヤならここで列車交換があるのだけど。

▲ セリン・オスト駅

次いでバーベに停車。路線図を見ると、近くの港からラウテルバッハ・モールとの間で、遊覧船が運行しているらしい。

▲ バーベ駅

車掌の発車の合図を待つ機関車の乗務員は、ベテランの機関士に若い機関助士のペア。

▲ 発車合図を待つ機関士と機関助士

こうして、ビンツLBから40分余りで片面1線のホームを持つ終点のゲーレンに到着。

▲ ケーレンに到着

機関車をすぐに切り離して、

▲ すぐに機関車を切り離す

ポイントを切り替えて転線。

▲ 機関車を転線

客車はホームに残し、

▲ ホームに残る客車

機関車へ給水作業が始まります。

▲ 機関車が転線してきた

機関士と機関助士が点検を行う横で、2人の女性の車掌はベンチで休憩。

▲ 給水と点検

大勢の乗客が乗っていたけど、皆さん海岸の方に行ったのか、珍しそうに機関車の回りに集まってくる人など他には誰もいません。 遠くから写真を撮っていた同業者らしき人は2人見かけたけど。

▲ 機関車の正面

近くに寄って、機関車をじっくりと観察。

▲ 機関車の背面

撮り鉄の間で罵声が飛び交うこともある日本のSL運行に比べ、のんびりとしたリューゲン島は天国です。

▲ 4軸の動輪

駅の片隅には2軸の有蓋貨車。車体にはDRのマークが描かれているので、東ドイツ国鉄時代の姿を今に伝えているのでしょうか。

▲ 貨車が留置

ビンツLBからゲーレンまで、リューゲン狭軌鉄道の列車を動画でご覧ください。

▲ ビンツLBからゲーレンへ