HOME page1 p2 p3 p4 p5 p6 p7 p8 p9 p10 p11 p12 p13 p14 p15 p16 p17 p18 p19 p20 p21 p22 p23 p24 p25 page26    


渡船でバート・シャンダウの街へ

ドレスデン近郊の温泉保養地、バート・シャンダウの街は、駅から斜め向こうの川の対岸。しばらくすると、渡船がエルベ川を下って迎えに来ます。

▲ 渡船が川を下ってきた

川の中で大きくUターンして浮き桟橋に接岸。列車の時刻に合わせて運行しているらしい。クルマの場合は、下流側に架かっている橋まで迂回するのでしょう。

▲ 浮き桟橋に接岸

渡船は川を1kmほどさかのぼり、

▲ 渡船から見たバート・シャンダウの街

市街地のすぐ横にある浮き桟橋に接岸。渡船を降りるときに料金を払うのかと思っていたら、誰もいなくてただ乗りをしてしまった。

▲ バート・シャンダウの浮桟橋に接岸

浮き桟橋からすぐのところにある細長い広場が、街の中心らしい。向こうには教会の尖塔がそびえ、

▲ 街の中心の細長い広場

広場の中心にある、噴水の背後は高級ホテル。ホテルの向こうにはエルベ川が流れていて、部屋からは絶景が望めるのでしょう。

▲ 広場の噴水

教会の横から山の方向に入ると公園になっていて、

▲ 花壇のある公園

こんな流れに沿った、緑豊かな遊歩道を上流へ。

▲ 流れをさかのぼる


キルニッツ渓谷鉄道の小さな電車

その先で待っているのは、黄色い小さな電車。ホーム上の人が集まっているところで、車掌さんが切符を売っています。

ここが今日の目的地、Kirnitzschtalbahn キルニッツ渓谷鉄道。1898年に開業した、メーターゲージで単線の路面電車。バートシャンダウのクーア公園から川沿いの渓谷を遡り、8km先のリヒテンハイネル滝に向かいます。

▲ 始発のクル公園

運行している車両は、多くの旧共産圏諸国の路面電車の製造がチェコスロバキアのタトラ社に統合される前、1950年代から60年代に東ドイツで製造された、ゴータカーと呼ばれる2軸の単車。LEDの行き先表示だけが新しい。電動車6号が2両の付随車を牽引するMc+T+Tの3両編成。軽量車体に60kW×2台のモーターのゴータカーは、今も残る同世代の日本の路面電車の足回りより高性能かも。

ドアが片側だけは、終点のループ線で方向転換する片運転台の車両では一般的だが、キルニッツ渓谷鉄道の電動車は両運転台で、終点では機回りをして編成の先頭に付け替える運用。道路の川側に寄せて線路が敷設されているため、進行方向にかかわらず乗降は常に川側だけなので、片側扉は合理的。

▲ 電車のドアは片側だけ

付随車が連なる、後部からみた編成。ゴータカーは旧東ドイツのいくつかの都市から移籍した中古車らしい。1本だけの路線なので、屋根上の系統番号表示部は使用せず、正面窓上の電動車の行き先表示に相当する部分は、付随車では外開きの小窓に。

▲ 電動車が2両の付随車をけん引

ゴータカーの運転席。左手の制御器で加速と電気ブレーキ。停止直前に右手の長いレバーを手前に操作しているので、ハンドブレーキかと思います。3つの足踏みペダルのようなものは何でしょう。単線の線路はスタフ閉塞で、右の窓際に置いた赤い棒が最初の区間のスタフらしい。

▲ ゴータカーの運転席

平日でもハイカーで賑わう車内は、通路をはさんで2+1の座席配置。座席はゴータカーのオリジナルのパイプ椅子から、背の高いかけ心地の良いものに交換され、座席の下にはヒーターらしきものも設置。

▲ ゴータカーの車内

春から秋までの夏期ダイヤでは、昼間は3編成を使用して30分間隔の運行。両端を含め9箇所の停留所があり、これとは別に、途中の2箇所の信号所で列車交換。最初の交換は、始発を含め3つ目の停留所の手前で車庫のある Depot mit Weiche の信号所。

▲ 信号所で列車交換

双方が停車して、運転士がスタフを交換するけど、ここは乗降できる停留所ではないらしい。

▲ 運転士がスタフを交換

沿線でふと車外に目を向けると、そこに停まっていたのは東ドイツの国民車トラバント。2サイクルの空冷エンジンを搭載した、今では走る化石のようなクルマ。ベルリンには観光用に動態保存されているトラバントはいるけど、壁の崩壊から30年を経て、こんなところによく生き残っていたものです。ゴータカーと並べて撮れれば、東ドイツ時代にタイムスリップ。

▲ 東ドイツの国民車トラバントがいた

ゴータカーは、川に沿って曲がりくねった狭い道の端に敷設されて線路を上っていき、始発を含め6番目の停留所の Forsthaus と7番目の Nasser Grund の間の直線区間にある Schneider 信号所で2回目の交換待ち。

▲ 2回目の列車交換待ちの6号の編成

3号の牽く編成が下ってきて停車すると、運転士の間でスタフを交換。

▲ 3号の編成が下ってきた

 

終点のリヒテンハイネル滝に到着

こうして、30分と少々で終点のリヒテンハイネル滝に到着。

▲ リヒテンハイネル滝に到着

電動車6号はすぐに切り離され、機回りをして、

▲ 電動車を切り離して機回り

車掌さんの補助でバート・シャンダウ側に連結。

▲ 車掌さんが連結をアシスト

出発の用意ができたところで、乗務員はしばし休憩。

▲ 出発準備完了

密着連結器のアップ。連結すると上のカバーが開いて電力や通信の接点のつながる構造。

▲ 連結器のアップ

右の電動車と左の付随車を連結した状態。万一分離したときのためか、車掌さんが連結器の下でチェーンを引っかけています。

▲ 連結した状態

到着から8分後、電車はバート・シャンダウに向けて発車。

▲ バートシャンダウに向け発車

電気ブレーキを効かせながら、ゆっくりと坂道を下っていきます。

▲ 坂道を下っていく編成の後ろ姿