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ドレスデントラム博物館

交差点からトラムの車庫に向かって分岐する線路が伸びていて、その一角にあるのが目的地のドレスデントラム博物館。19世紀末の開業から戦後の東ドイツ時代まで、トラムの歴史を伝える博物館だが、ボランティアベースの運営のためか開館日は月に1日程度。前回ドレスデンに来た時には訪問できなかったので、今回は開館日に合わせてスケジュールを組んできました。

博物館は車庫の一部を使って歴代の車両を動態保存しており、トラムの乗務員のOBの方でしょうか、ガイドツアーで代表的な車両を見学して回る方式。でも、残念ながら説明のドイツ語が全く理解できず。

オレンジとクリームに塗り分けた車両は、1960年ごろから共産圏の標準型トラムとして、東側の各国に大量導入された、チェコスロバキア製のタトラカーT3の車体幅を狭めた東ドイツ向けT4D。ドイツでは既に多く 街で引退したが、旧ソ連の国々やチェコ、スロバキアから北朝鮮などでは、まだまだタトラカーが主力として活躍中。

▲ 共産圏の標準型トラムのタトラカー

左はタトラカーが普及するまで、戦後の東ドイツ製の標準型だったゴータカー。右は第二次世界大戦前の1913年製だが、片運転台、片側扉に改造して近代化。いずれも2軸車です。

▲ 戦前型と戦後型の2軸車

先端を大きく絞ったボギー車は1931年製。同型の2軸車も保存。

▲ ボギー車

1902年製で、この博物館で一番古い車両。もちろん動態保存で、LRTの走る市内の路線を運行することもあるのだとか。

▲ この博物館で一番古い車両

旅客用以外にも、業務用の車両や各種関連設備、

▲ 歴代の停留所の標識

過去の街の様子を伝える写真や、模型等も充実しています。

▲ 事務所の様子や戦前の街の写真

ドレスデントラム博物館については、こちらで詳しく紹介しています


ドレスデンの現役のトラム

トラム博物館が同居する車庫を覗いてみると、現役の低床連節車のほかに、向こうにいるのは2010年ごろに全廃されたはずのタトラカー。

▲ 車庫の低床連節車とタトラカー

勝手に構内に立ち入って写真を撮らせてもらったが、タトラカーT4Dの更新車がパンタグラフを上げて待機中。あとでネットで調べてみると、ラッシュ時の増発のためにタトラカーを復活させ、ワインを飲みながら市内を巡る観光電車等にも使用しているのだとか。

▲ タトラカーT4Dの更新車

このタトラカーを除く現役車両は、今朝乗ったボンバルディアのフレキシティークラシックと、写真の東西ドイツ統合後に最初に導入されたDWA(ドイツワゴンバウ、その後ボンバルディアが買収)製の全低床連節車NGT6DD。1、3、5両目に2軸の台車があり、2、4両目のフローティング車体を挟むタイプ。

▲ 低床連節車NGT6DD

車庫からフレキシティークラシックのNGT D8DDが出てきた。

NGT D8DD

再びトラムに乗って旧市街へ。

▲ エルベ川の橋梁を行くNGT D12DD

▲ NGT6DD


ドレスデン旧市街散策

この日は夕刻のICEでフランクフルトに向かう予定。それまで、ドレスデン旧市街で時間つぶし。

旧市街の中心、ノイマルクト広場のフラウエン(聖母)教会。18世紀前半に建設されたこの教会は、第二次世界大戦中に連合国の爆撃により破壊され、東ドイツ当時はがれきのままで放置されてきたものを、ドイツ統一後に世界からの寄付金をもとに再建され、12年の歳月をかけて2005年にもとの姿に蘇ったもの 。

▲ フラウエン教会

可能な限り、がれきの中から拾い集めた石材を再利用し、ヨーロッパ最大のジグソーパズルと呼ばれています。黒いところがもとの石材。

広場に何やら変なクルマ。7つのサドルの下にペダルがあるので、7人で漕ぐ自転車らしい。丸いハンドルの下のペダルはフットブレーキ、その隣のレバーはサイドブレーキでしょうか。

▲ 7人乗りの自転車

広場の一角の歴史的な建物は、前回に訪問したドレスデン交通博物館。トラム博物館と違い、こちらは月曜日とクリスマスや新年の前後以外はいつでも開館。その前に3台のクルマ。

ドレスデン交通博物館については、こちらで詳しく紹介しています

▲ ドレスデン交通博物館

どうやら、警察の車両を屋外展示しているらしい。おそらく東ドイツ時代のものでしょう。

▲ 警察車両を展示

ナンバープレートがついているので、動態保存でしょうか。

▲ 後ろから見ると

広場から、狭い道の向こうに見えるのはドレスデン城。

▲ ドレスデン城

長さ100mに渡って、その壁のマイセン磁器のタイルに描かれている君主の行列は、12世紀から20世紀初頭までにわたるザクセン君主の騎馬像や各時代の著名人などの姿。

マイセン焼きのタイル描かれた君主の行列

ここを抜けると裁判所や、

▲ 裁判所

ドレスデン城にカトリック旧宮廷教会に囲まれた広場に出るが、石畳を剥がして工事中。

▲ ドレスデン城とカトリック旧宮廷教会

ゼンパーオペラ(ザクセン州立歌劇場)の前からここを通り、アウグストゥス橋でエルベ川を渡ってノイシュタット方面に向かうトラムの線路も剥がされていて、ここを通る系統は迂回中。

▲ オペラ座

近くのアルトマルクト広場には、お祭りでもあるのか仮設の店舗がずらり。

▲ アルトマルクト広場の仮設店舗


ICE-Tでフランクフルトへ

マイセンから戻った同行者と合流し、ホテルに預けていた荷物をピックアップ。酒を買い込み、ドレスデン中央駅から振り子式のICE-Tに乗ってフランクフルトに向かいます。

▲ ICE-Tの車内

途中のゴータ駅で見かけたトラム。東ドイツのゴータカーを生んだ街だけど、この電車は旧西ドイツを代表するデュワグカー。3車体連接車で、中間の車体のドア付近だけが低床に改造されているが、旧西側のどこかの街の中古車でしょう。

▲ ゴータにデュワグカー

ICE-Tは食堂車を連結しているので、ここで夕食にすることに。カウンターの手前はビュッフェコーナー。

▲ 食堂車のビュッフェコーナー

厨房の奥が食堂に。

▲ 食堂車

どれも冷凍かレトルト食品を盛り付けているだけだと思うが、実によくできていてなかなか美味しい。

▲ 食堂車のメニュー

在来線と高速新線を組み合わせながら、ドレスデンから4時間余り。フランクフルト中央駅に到着。

▲ ICE-Tの食堂車

時刻は20時半過ぎ。まだまだ明るいゴールデンウイークのドイツ。

▲ フランクフルト中央駅のICE-T

帰国便がフランクフルト発なので、ここに前泊することにしたが、早い段階でホテルを予約しようにも見本市と日程が重なったためか、何処も異常な高値やキャンセル不可の悪条件。とりあえず通常価格と思われる、フランクフルト空港のホテルを押さえておき、6か月前になって中央駅横の東横インを予約開始時点でゲット。概ね通常料金と思われ、日本人には強い味方。

▲ 中央駅横の東横インフランクフルト